コラム
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2024/3/6
1899    令和6年春、卒業生に贈る言葉

向陽高校卒業式に「海草・向陽同窓会長」として出席しました。卒業式で毎年思っていることは、OBとして卒業生に対して「これからの人生に必要な何かを伝えること」です。たった一言でも良いので、生徒の心に届くメッセージを届けることが使命だと思っています。

令和6年3月1日の卒業式でも祝辞を伝えさせてもらいました。ただ足りないと思うところがあり、卒業生には「誠に申し訳ない」と感じる日を過ごしました。

そこで「卒業生に贈る言葉」をテーマとして、今思うことを書いてみました。

皆さん、卒業おめでとう。卒業を心からお祝いし、皆さんの先輩として伝えたい言葉を贈ります。高校生までは、親と担任の先生達が皆さんを温かく見守り育ててくれました。卒業式は温かく育んでくれていた場所から自立していくことを意味しています。

僕が卒業式で感じたことは「何の武器も持たない僕は、卒業した後はどうなっていくのだろう。これから何をすればよいのだろう。一体、僕の将来どうなっていくのだろう」という不安ばかりでした。そこには自分への期待は薄く、これからやるべきことも見えていませんでした。

大した生徒ではなかった僕でも、その後の人生を生きています。僕が学生の時よりも皆さんの方が優秀なのは間違いありませんから、皆さんの人生は希望ある未来に向かって扉が開かれています。ここでの問題は「人生を生きる」ということです。「人生を生きる」とは朝起きてパンを食べる。そこから学校に行く、仕事に行く。一日を終えて晩ごはんを食べて寝ることではありません。

皆さんが「人生を生きる」とは、経験をする、勉強をする、人と話を交わす、読書をする、世界を旅して体験するなど、日々、成長することに他なりません。成長を目指して行動しない人生は「人生を生きる」ことにならないのです。

朝起きて寝るまでの時間は限られて、その時間はいつか確実に失われます。極端ですが身体を維持するためだけに生きてはいけないのです。成長するために生きることが「人生を生きる」ことだと思って下さい。

「人生を生きる」ことにはもう一つの意味があります。社会において、人は一人で生きられませんから必ず誰かの、いえ、多くの人に助けてもらっているのです。氣づかないけれど誰かが皆さんを助けてくれています。親や先生、友人だけではなく、皆さんが知らない多くの誰かが助けてくれているのです。

これから皆さんの授業を担当してくれる先生、皆さんと話を交わす先輩や後輩、買い物や通学などで皆さんにサービスを提供してくれる人もいます。バイト先でのお客さんもそうです。ものを買ってくれるお客さんがいるからバイト代を貰えるのです。生きている限り、周囲の人とのそんな関係はずっと続きます。

逆に皆さんは、親や先生、友人達を助けている存在なのです。もちろん、皆さんは知らない人も助けているのです。皆さんは多くの人の助けを受けて、逆に多くの人を助けながら毎日は過ぎているのです。これまでもそうだったのですが、高校を卒業した後は、もっと多くの人と関係ができ、助けられ、また助ける関係を築くことになります。

凄いことだと思いませんか。だから日々、成長しなければならないのです。皆さんが成長していくと、より高いレベルで誰かが助けてくれることになり、もっと高いレベルで誰かを助けることが出来るのです。

「人生を生きる」とは成長していくことなのです。皆さんは向陽生ですから、これまで以上に成長していく未来が待っています。

どうか素晴らしい人生を生きてください。今年の卒業生に伝えたい僕からのメッセージです。
皆さん、卒業、おめでとうございます。