コラム
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2021/10/25
1860    スピード感とスケール観

経営者の方から、事業の進め方についてのアドバイスをいただきました。事業に必要なことは信頼か資金のどちらかです。

まず信頼があると事業計画はスタートできます。一流企業か名前が通っている企業の事業であれば信頼性は高いので事業をスタートさせることができます。そうでない場合は資金力を見せることです。事業資金があることを証明できればスタートが可能です。

企画書などがない話だけでは信頼性と資金力を証明できないので、事業をスタートできないことになります。大きな計画になればなるほど、関わる会社や人の信用はとても大事なものであることが分かります。

事業のスタートを切るためには信用を証明するか、資金力を証明するかのどちらかが必要となることの指摘がありました。但し、大きな事業計画は日本の常識では測れないので、疑いすぎることで時期を逸することも多々あるようです。

外国は判断が素早く日本では考えられないスピード感があります。進出や投資を決めることに慣れており、日本のように遅々として進まないと中止もあり得ます。

これに対して、こちら側の熱意と誠意を示すことはとても重要です。熱意がなければ決断はしてくれません。相手にとっても事業パートナーとしての信頼を測っているので、信頼できる相手であることが事業を進める条件であることは同じです。

また「一流と仕事をしなければなりません。一流であることを見抜く力も必要です。見抜けないから判断が遅くなることがありますが、判断が遅れると機会を逃すことになります。日本は判断の遅さから先端技術の分野で世界から後れを取ってきました。同じことを繰り返さないようにしたいと思います」という話がありまました。

つまり数百億円規模の事業をした人だったら分かることが、その規模の事業経験をしていない人は大きな事業のしくみが分からないので判断できません。とにかく前向きに進めることで都度、判明していきますから、リスクのない範囲までは進めることが事業なのです。

事業に責任を負うことのない調査機関の調査結果や、その人と直接事業をしたことのない人の噂話で判断することは愚の骨頂です。スケールの大きな人の考え方を理解するには、ある程度の人としてのスケールが必要となります。

また資金力がある人の考えやスピードの速さを理解できないことがあります。「自分が理解できないことはやらない」のではなくて、しっかりと話し合ってみることや同規模の案件に携わった経験のある事業家に話を聞いてみることが大事なことです。民間の調査機関が事業者の将来を見抜くことはありません。現在の姿を会計上の法則に従って数値化した過去のデータに過ぎないのです。

自らリスクを負う投資家の視点とリスクを負わない調査機関の視点は天と地ほど違いますから、どちらを信用するのかは判断する人のスケール次第です。

世界はスピード感とスケール感を持つ人によって動いているように感じます。経営者の方からは「残念なことにスピードとスケールについていけない、そして理解できていない日本人は外国からなめられています。しかし向かっていく日本人がいることを誰かが示さなければ、なめられたままです。そのためには世界のスピードとスケールを理解すべきです」と伝えてくれました。