813. センバツ

第82回センバツ高校野球大会に36年振りに出場が決定している向陽高校。ここにいた橋校長先生という素晴らしい方がいてくれます。今回のセンバツ出場は選手の力が結集した賜物ですが、板橋校長先生の運と人格によるものがあると思っています。
 平成21年春に、向陽高校を訪ねて板橋校長先生と話したことを思い出します。「今年の選手は良いですよ。甲子園を目指せるチームになっていますから、期待して下さい」と伺いました。まさかと思っていましたが、昨年春の県大会で優勝し、近畿大会に駒を進めました。新型インフルエンザのため近畿大会は中止となったのが残念ですが、夏の大会に期待が寄せられました。ところがあっけなく敗退し、甲子園は遠ざかったかのように思えました。
 ところが新チームになって秋の県大会で準優勝し、近畿大会に出場。今回の21世紀枠での出場を勝ち得たのです。
 板橋校長先生の言葉で忘れられない言葉があります。ひとつは、春の甲子園大会に出場が決まった時のものです。「甲子園出場は本当に嬉しいことです。しかし出場の喜びに沸くグラウンドの隅で、嬉し涙を流している三年生の姿に感動しました。甲子園出場は三年生の支えがあったから実ったものです」という主旨の言葉でした。
 春の大会で優勝したのに近畿大会が中止となり実力を試すことができなくて、夏の大会に敗れて涙した三年生の力が新チームに乗り移ったと思います。
 もうひとつは三年生が卒業した後の言葉です。「一週間前に三年生が卒業しました。甲子園出場を果たせなかった三年生は涙で卒業していきました。その三年生の分まで甲子園で飛躍して欲しいと思っています」。素晴らしい校長先生だと思います。
 出場した選手は当然、実力もあり素晴らしいのですが、それを支えた三年生、そして新しい伝統の基礎を作った三年生の陰の力に感謝したい気持ちです。新チームを高いレベルで引き継いだ三年生がいたからこそ、甲子園大会出場が決まったのです。
 ただひとつ残念なことは、三年生が卒業してしまったので学校内にいないことです。できるならば、卒業前に在校生として甲子園のスタンドで応援させてあげたかったと思います。中から見る甲子園と外から見る甲子園は、やはり違うと思うからです。
 それにしても、甲子園はドラマを生み、伝えてくれています。出場前に感動的な話が渦巻いています。3月21日にナインは一回戦を戦います。勝っても負けても、出場したことが尊いのです。確実に歴史を刻んでいます。

 ところで応援の関係で、東京の向陽高校時代の同級生に電話をしました。いつものことですが、電話の向こうで声が弾んでいることが分かりました。気持ちよく支援を約束してくたれのですが、それ以上の行動をしてくれました。東京から、和歌山市在住の二人の元同級生に電話をして、明日会えるように約束を取り付けてくれたのです。「明日訪問したら喜んでくれるよ。行ってくださいね」と話してくれました。そして付け加えてくれたのが、「片桐君は私の誇りなんだよ。同級生が県議会で活躍してくれていることは大切にしたいことです。これからも、もっと頑張って下さいね」と涙が出るような嬉しい台詞をいただきました。
 そして紹介してくれた二人の同級生はお医者さんです。職業は関係ありませんが、二人のお医者さんの活動の様子を聞くと、苦労を重ねていることが分かりました。頑張っている人はつながっている、そう感じると温かくなりました。
 甲子園大会が元同級生達を引き寄せています。各世代でも同じようなことが起きていると思います。他にも感動的な日を過ごしている人がいると思うと、幸せが和歌山市内で膨れているように思います。


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