2009年11月13日、アメリカのオバマ大統領が来日しました。この日の三時頃、羽田空港に降り立ったのですが、空港は勿論のことアメリカ大使館、国会周辺などは警戒体制が敷かれていました。国会前の道路に日本の国旗とアメリカの星条旗が並べて掲げられている光景は感動的でした。これは国益や思想などを超越した思いです。
国同士がお互いを尊重し合い交流し理解を深める。そこには国境や対立の概念はありません。風に吹かれて両国の国旗が空に向かってなびく光景は、将来に向かって伸びていく明るい姿が心の画面に見えました。白と赤と青の三色が空に向かっているように見えた場面は、そのことを教えてくれたようです。
国旗から見えた希望とは、直接選挙で選ばれたオバマ大統領と、国民の代表の中から選ばれた新しい政党である民主党の中からこそ見えたものかも知れません。国家の希望とは人への希望と似ています。
希望とは今自分よりも少し先にあるものです。それを目指している、それに追いつこうとする自分だから、今の立ち位置よりも先に進めるのです。ポールに取り付けられた二カ国の国旗は届きそうで届かない位置にありました。国旗とは国の掲げる理想を目指すシンボルでもあると思います。簡単に到達するものは目指す対象にはなりません。現時点では遠すぎて辿り着けないものも、目指すべき対象には不適切です。
今の自分には届かないけれども、理想を目指せば届きそうな位置、一人では無理かも知れないけれど、複数の人で取り組めば理想は叶うかも知れない位置に国旗はなびいていました。見て心で感じる美しい光景でした。
考えてみると分かることですが、国旗を掲げられる国、ここでは領土を指しますが、それがあることは感謝すべきことです。領土がなくイラク国内に暫定自治区があるだけのクルドは、現在、独立を目指しています。世界に4,000万人もいるのに領土がないクルド民族の悲しみは想像できませんが、一つの国家を形成し同じ国旗の下で理想国家を目指したい思いがあっても、現状では叶わないのです。国家の定義は複数ありますが、領土を持つことも条件の一つです。
領土を持って国旗を掲げ、民族全体で理想を目指している日本国は素晴らしい国なのです。奇しくもオバマ大統領が来日している時に、東京都内でクルド独立運動に関係している仲間と話し合っていると、理想と希望を持っているこの国の素晴らしさを思い返しました。独立国家は当たり前のように思いますが、クルドやパレスチナ、チベットなど独立できない民族が存在しているのも現実です。
理想を掲げ大空向かって羽ばたく国旗と同じように、人も理想を持って伸びていきたいものです。そして「赤も青も関係のない一つの国」を目指しているオバマ大統領ですから、現在はユートピアでしかあり得ない、国境で争うことのない世界を目指して欲しいものです。日本はその一翼を担えるだけの尊い国です。