795. 時間管理について

「時間管理について」の講演を行いました。講演は時間管理がテーマですが、全く違う話から入ります。宇宙ステーションに滞在していた若田さん。その宇宙ステーションは地球からどれ位の高さにあると思いますか。答えは400kmの高さです。丁度、大阪から東京までの距離に相当します。宇宙は意外と近いですよね。では、空気のある成層圏はどこまでの高さだと思いますか。わずか10km上空までなのです。
 私達は普段、宇宙についての話し合いをすることはないので、これらの知識を持っていても役立たないかも知れません。しかし宇宙に関係している人と会いたいと思って会えた場合には、これらの知識は話し合うための前提となりますから、話をショートカットして進めることができます。つまり一から説明を受けないと前に進めない状態ではないので、専門家に聞くことが深くて知識を前に進めることになります。これが忙しいことから解放されるための方法です。基礎的知識を得る努力を続けていると、どんな仕事であっても一定以上段階からスタートできますから、ショートカットした時間から始められるのです。忙しさは緩和されている筈です。

ここに現在も使用している手帳がありますが、もう20年ほど使用している手帳です。過去を蓄積しているので、見返すと記録が残っていますし、11月、12月にはこれからの予定も書き込んでいますから、未来にすべきことの管理もできています。未来に必要なことを優先的に書き込み、時間の確保と時間の管理をしているのです。
 今の出来事は書き込まなければ、一日経過したら、明日の朝になれば、大半を忘れてしまっています。そして手帳に書き込むのはキーワードだけです。今日の講義の場合だと、「スイートスポット」と書き込んでおくと良いのです。その日のうちにまとめると「スイートスポット」だけで、何が大切なのか思い出すことが可能です。

手帳の記録を自分の知識に取り込むためには、その日の夜に復習することが必要です。時間管理上の「スイートスポット」の意味を自分の言葉で書き出すのです。そうすることによって時間管理上の「スイートスポット」は自分のものになりますし、自分で人に話をする時には、自分の言葉で説明をすることができます。知識を自分の言葉で人に説明できるようになった時、それは自分のものになっているのです。このように知識を自分のものにしていくことが、忙しい毎日から脱出する秘訣です。
説明できることを増やしていく、仕事をする上での前提を高めておくことで、必要な時間をショートカットさせることができます。
 更に時間をショートカットさせたい場合には方法があります。現在の仕事は一人で完結させることが難しくなっていますから、仕事を自分一人で抱え込むことをしないで、知識のある仲間に仕事の一部分を依頼していくことです。役割分担できるチームを作ることで時間をカットできるのです。自分一人で何もかもしようという意識が強い人は、忙しい循環から逃れることは困難です。
 私も時々福祉施設への慰問活動を行っているのですが、ここでは踊り、音楽演奏、歌や手品などを約1時間行っています。チームで慰問活動を行っているから1時間実施することが可能になっているのです。もし自分一人で、歌と踊り、楽器演奏と手品をしようと思っていたらこうなります。楽器を習うのに1年、踊りを習うのに1年、歌のレッスンと手品で1年などの時間を要します。そして人の前で披露するための時間も必要となりますから、福祉施設に慰問ができる迄に5年もかかることになります。
 つまりチームを組んで慰問活動を行う場合は、明日からでも実施できますが、一人で慰問活動を行おうとすると5年はかかりますから、そこまで福祉施設への慰問に熱意を感じていなければ、楽器練習に着手したものの技術を習得できないで終えてしまう危険性もあります。そうなれば慰問活動はできなくなります。明日からでもできる活動が、何年経ってもできなくなることもあるのです。
 如何でしょうか。人で何もかもしようとするから忙しいのです。無駄とはいいませんが、人と組んでできることは役割分担することが、自分を忙しさから解放することが分かると思います。忙しいと思っている人は、普段の仕事で福祉施設への慰問の例と同じようなことをしているのではないでしょうか。

 もうひとつ時間管理で大切なことは期限を持つことです。期限のない仕事は完成しないか、だらだらして時間を浪費することになります。時間管理ができていないと仕事もできません。仕事をするには期限は必ず設定することです。期限を設定するとまだ出来ていない仕事に対して、その前日は必死で頑張りますから。今日の講演もそうですから間違いありません。

 最後にもうひとつ、時間の大切さを学ぶ方法を紹介します。50年カレンダーです。50年先までの西暦が書かれているカレンダーですが、この年号の横に自分と自分の家族の名前と年齢を書きます。不思議なことに自分が年を重ねていくことが現実的なものになりますし、子どもも年齢を重ねていく様子が浮かびます。1歳の子どもが50歳になっている過程がはっきりと浮かぶのです。そうすると、今日の日を大切にしなければならないと強く思います。今日の積み重ねが50年先につながるのです。日々の大切さを感じた時には、人生において無駄な時間を過ごすだけの余裕がないことに気付くのです。
 そんな大切な日々を感じて、忙しいだけの日と別れて下さい。
 私の手帳の一日のスケジュールの書き込み欄は、わずか1cmです。私は忙しいという言葉は使いませんが、どれだけ仕事がつまっていても、わずか1cmの枠内にその日予定を全て書き込めるのです。一日わずか1cmの予定に過ぎないのですから、決して忙しいことはないのです。


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