何かの冊子で一流の条件を読んだことがあります。一流の人の仕草を見ると一流の条件が分かると言います。例えば、一流の人の宿泊したホテルの部屋を拝見すると気付くことがあるそうです。洗面所やお風呂場は、宿泊して使用したと思えない位きれいに保たれているようです。新幹線のグリーン車のトイレに入っても同じことが言えるそうです。トイレはきれいで、洗面所には水滴が散乱していないようです。

　つまり一流の人は、次に使う人のことを考えて施設を利用しているのです。自分が使った後のことは知らないので洗面所は水が飛び散っても構わないと思うことはないのです。

　一流企業を訪問した時のトイレに入った時も全く同じです。男性用トイレでも、小便器の足元は汚れていませんし、洗面台もきれいに保たれています。ある企業のパソコンの社内掲示板に次のような意見が掲載されていました。

　「トイレがきれいに保たれているのは、清掃会社の人達がきれいに掃除をしてくれているからです。清掃会社の人に気持ち良く仕事をしてもらえるようにトイレをきれいに使いましょう」。

　トイレ内で清掃会社の人に会ったので、きれいに保ってくれていることにお礼を言った後に、社内パソコンで掲載されていた意見のことを話しました。清掃会社の人はこのことに深く感謝してくれました。

　一流企業はトイレなどの共用場所をきれいに保つことの意味を知っていますから、見えないところでもお金を使っています。清掃会社の人は自分の会社の仕事に誇りを持っていますから、トイレをきれいに保つために全力を挙げてくれています。そして従業員は、きれいに保たれたトイレをきれいに使用しています。

　会社が公共場所をきれいに保つことの価値を知りお金を支払っていること。仕事に誇りを持っている清掃会社の人が仕事をしてくれている。そして従業員がそれを汚さないように使用していること。一人の意識が欠如しても、トイレをきれいに保つことはできません。

　一人の二流が混じっていると、一流の組織であっても二流になり下がります。だから一流には価値があるのです。きれいに保たれているトイレや洗面所を持っている法人や組織は、一流の人が集まっている証拠です。

　そのことを知ってから、私は宿泊したホテルの部屋を、使用していなかったような状態にしてからチャックアウトするように心掛けています。洗面所は水が飛び散らないように使用しますし、飛び散った水滴は拭き取っています。

　ホテルの部屋の清掃の人が、その日の宿泊者の部屋の中で一番片づけがいらない部屋だと感じてもらえるようにしてホテルを後にしたいと思っています。

　同じ考え方で、外食の時には食事した後のお皿や容器をきれいに揃えておくようにしています。そのことで店員さんの仕事が楽になるからです。ある飲食店では、私のことを覚えてくれていました。それは「いつも食べ終えた後のお皿をきれいに片づけてくれている」ことが要因だったようです。どちらも気持ち良いものです。