和歌山県内の素晴らしい経営者にお会いしました。知り合いの社長に紹介してもらったのですが、熱い時間を過ごせました。この会社は、日経MJ紙によると平成20年度の全国のサービス業界全体の納税額で、全国で20番台になっています。例えばセコムやイオンクレジットなどの名だたる企業を押しのけて上位にランクインしています。和歌山県にとって欠かせない優良企業なのです。今年も利益が上がっているので、きっちりと税金を支払うと話してくれました。
社長の経営方針は、地域でお世話になって企業活動をしているのだから地域に恩返しをするのは当然の事だというものです。社長の言う地域への恩返しとは、寄付や行政との協働ではありません。本業通じて利益を上げさせていただく。その利益を正当な算出方法に基づいて正しく税金を支払うことです。その結果、サービス業界では全国で有数の、和歌山県ではトップクラスの納税額になっています。本業を通じて税金を支払うことで直接的に地域に貢献する姿勢を創業以来貫いています。
もうひとつは雇用確保です。この会社で働いている人は約900人。「雇用はそれほど多くないのですが、もっと店舗拡大をして雇用を増やしたい」が社長の談話です。
約900人の雇用は決して少なくありません。もし地域にこの会社が存在していなければ、約900人の地元雇用は発生していなかったのです。雇用機会の拡大と、その方たちの賃金が発生していますから、地元地域での消費拡大につながっています。
つまり企業の社会責任とは、利益を上げて税金を支払うこと、そして雇用を確保することの二点なのです。この二点を守ることを目標として掲げて企業活動を行っています。本業を発展させていますから、行政との付き合いも全く必要なかったのです。ですから財界活動もしていませんし、行政機関とのつきあいもありませんでした。それほどの納税と雇用確保をしてくれている優良企業なのです。
しかし最後に社長が言いました。「和歌山県が好きなので本社を県外に移転させる気はなかった」のです。過去形になっている点に注目しました。
平成21年になって和歌山県の動きで立腹することが発生したのです。真面目に、そして真剣に経済危機が言われている中でも本業を守り、業績を上げ今年も多額の税金を支払おうとしている会社に対して、根拠の乏しい案件を突きつけたのです。「本社移転も考えたい」と話すほどです。和歌山県内に本社を持ち、将来にわたって地域貢献をしたいと考えている会社に対して、不満を抱かせてしまった地方自治体とは一体何なのでしょうか。地方自治体が民間企業よりも偉いと思っているかのようです。
私はその不満の理由をしっかりと把握しましたから、今後の取組方針を社長に提示しました。社長の怒りを私が一旦預からせていただき、社長に登場してもらえる最高の場面がやってきた時に登場してもらうことにしました。しかし、出来れば社長が登場しないことが一番望ましい解決方法ですから、上手く解決に導きたいと考えて行動することにしました。経営者との懇談の機会は本当に勉強になります。
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