632.北風と太陽
 北風と太陽の話は誰でも知っている童話です。相手の心を開かせようとすれば、対立するようも包み込む暖かさを持つことが勝っていることを教えてくれます。力で解決するよりも、心で解決する方が方法としては勝っています。

 人それぞれ考え方は違いますから、大筋同じ矢印であれば同じ方向に向かうことで、そのベクトルを長くすることができます。
 二人のベクトルが同じ方向に向かえば、ベクトルは長くなり、その線は二倍に太くなります。少しの違いなのに全て一致するまで同意しないとするなら、ベクトルは反対方向に向きますから短くなり、一人の時よりも力はなくなります。

 対立すれば真中にある二人の間にある壁は、どちらか力の弱いほうに寄せられます。力で勝っていても休憩して力を抜くと、折角、相手側に寄せていた壁がこちら側に寄せられますから、結局動ける範囲は少なくなりますし、常に相手を睨み続けなければなりませんから、体力的にも精神的にも大変です。

 私達はどんな時でも広い陣地が必要な訳ではありません。必要に応じて広く欲しい時もあれは、狭くても我慢できる時があるのです。広いスペースが欲しい時には相手から譲ってもらい、相手が欲しいと思っている時には譲ってあげたら良いのです。その方が快適な環境を得られるのです。

 境界線を明確にして乗り入れ禁止にするよりも、境界線付近を相互乗り入れ自由にしておく方が親密度は増し、自由に動ける空間が増えるのです。少しの考え方の違いは乗り越えられますから対立よりも融和です。お互いが北風になって対立するよりも、どちらも太陽になって暖め合う関係の方が手段としては優れています。

 和歌山県の場合、狭い市場環境であることから、どうしてもパイの奪い合いになり勝ちです。厳しい経済環境下にあるため太陽施策は難しいところですが、北風が吹きさらすまちには花は咲きません。暖かい太陽が顔を出せば新緑の季節は直ぐそこまで来ていることが実感できるので、今までの気持ちとは違った心の持ち方ができます。心が違うと行動は変わりますから、そうなるとこのまちも春に向かうのです。

 日本においては、少なくとも21世紀初頭においては季節に四季があります。人が努力をしなくても地球が与えてくれる素晴らしい資源が日本の四季です。厳しい冬であっても数か月も過ぎると確実に春はやってきます。

 ところが人の心は、心構えを変えないと春は巡って来ません。辛いとか厳しいなど心が思っているといつまでも冬が続きます。毎日が楽しい、遣り甲斐があると心が感じていると季節は春の状態となります。心の持ち方ひとつで心の季節を変化させることができます。仮に今の心が冬の状態であっても、心の持ち方を変えることで、数か月待たなくても直ぐに春が訪れます。心にはそんな優れた特性があるのです。

 心の持ち方で春は来るのですから、辛い心の冬を耐えなくても良いのです。楽しい心のあるところには常に春が留まってくれるのです。

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