616.決算
 決算では何が重要なのでしょうか。利益を出すことは勿論大切ですが、それ以上に大切なことがあります。早く決算して支払を済ませることです。仕事にかかわった人は、それぞれの仕事を抱えていますから支払を待っているのです。
 契約をした時に、納期と支払期日はお互い了承した上で決まっています。その仕事をした人は、現場が完成した時や報告書を仕上げた時、発表が終わった時に仕事が終わったと思いがちです。決算を軽く見て、関係者の打ち上げの後回しにしたり、次の仕事の企画を考えながら決算する場合がありますが、やはり仕事を終えた段階で決算を行い、仕事として仕上げておくことが重要なのです。

 決算と支払いが遅れると、確実に次の仕事に影響します。約束の支払期日が一日遅れただけでも信頼は低下します。二日遅れると信頼はその分また低下します。支払を怠ることは論外で自殺行為です。もし決算して赤字だったとしても、取引事業者や関係者など仕事を助けてくれた人への支払いは別です。赤字であっても仕事を依頼した個人の信用の問題として支払をすべきです。

 経験上、「当初の見込みと違って赤字だったから支払いを待って欲しい」「お金が出来るまで支払いを待って欲しい」ことが非常に多いのです。資金を借り受ける時は助けてくれた神様のように思っていても、仕事を終えるとお金を返すのを引き延ばそうとするのです。
 そこで人が試されます。理由を見つけて支払いをしないことや支払いの遅延は、確実にその人の信用を落としてくれます。
 約束の日にお金を返しに来る人は、ほとんどいないと言っても差支えありません。こちらから催促しても、逃げ口実や支払いが遅れている言い訳を聞かされるのがほとんどで、気持ちの良いものではありません。

 本来であれば、約定期日を過ぎると利息分を付けて返済してもらう必要がありますが、心優しい貸付者はそこまで要求しないのですから、その信頼に応えるためにも、返済期日は厳守すべきです。お金と時間が混ざり合うと利息というお金を生み出してくれますから、支払いを遅延させることは、貸してくれた人の利益を奪っている行為を継続させていることです。その他人の利益を奪う行為が信頼を低下させていくのです。
 決算と支払いを済ませてやっと仕事が終わるのです。
 仕事とは予算に始まり決算で終了します。予算段階では信用力が必要となりますし、決算と支払い段階ではその人の信用力を試されます。つまり仕事において資金と信用力は最も重要な要素なのです。投資家に代表される社会は、仕事の資金の流れを見ていますし人を試しています。
 仕事は信用力が全てであり、しっかりと決算をしている人が次の仕事のつながる信用力を身に付けて行きます。

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