平成20年3月9日、今年の夏の北京オリンピックへの出場権を掛けて名古屋国際女子マラソンを走った高橋尚子選手でしたが、残念ながら27位に終わりオリンピック出場は夢と終わりました。「あきらめなければ夢はかなう」の言葉と共に走りましたが、今回、その夢は形の上では実現しないことになります。
ライブを見ることが出来ませんでしたが、帰ってから夜のテレビニュースを見て、やはり夢はかなうものだと思いました。オリンピック出場は実現しませんでしたが、怪我や故障から復帰したことや、ブランクを乗り超えて挑戦する姿勢は、「あきらめなければ夢はかなう」ことを教えてくれました。そう未だ夢は終わってはいないのです。年齢的なものや体力的には、再びオリンピックの舞台に立つことは困難かも知れませんが、高橋選手なら私達に彼女が選択した夢の続きを見せてくれる筈です。
高橋選手の座右の銘は知る人ぞ知る、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きく花が咲く」ですが、それを教えたのは県岐阜商高の陸上部時代に顧問だった中沢正仁さんだそうです。報道によると、その中沢さんのコメントに、「特段優れた選手ではなかったが、絶えざる練習と努力の大切さを知っていた」と言うものがありました。
どの世界でも、舞台に立つまでの時間が大切です。成果発表やプレゼンテーションの機会は数十分で終わることがありますが、それに費やした時間はその何十倍にも当たります。その時間があったからこそ、成果を発表できる場に立つことが可能となるのは事実なのです。このように、認められた人だけが公式の場面で発表する機会が与えられるのです。そして、人から認められるには日頃の過ごし方が大切なのです。
人から見えない根が深く伸びていないと花は先ませんし、十分に根を張っていないと花は雨や風に倒されてしまいます。人にとっても、発表会や試験などに挑戦する、花の咲く時間は一瞬ですが、花を咲かせるまでの準備の時間が大切なのです。
国際大会の選考レースとなるマラソン大会のために1年間以上の練習を続けてきた訳ですが、その期間の意味をレースから感じ取れます。あるテレビ番組の解説者がコメントしていましたが、今まのどのマラソンよりも沿道のファンの数が多く、高橋選手に対して、「Qちゃん頑張れ」の声援が凄かったそうです。このレースで北京行きを決めて欲しい、でももしかしたら最後になるかも知れない。応援に駆け付けた人達は高橋選手が1年間、厳しい練習を続けてきたことを知っているのです。(勿論、全ての出場選手は同じような厳しい練習を続けてきていると思います)
レース序盤で失速し、完走が出来るかどうかも分からない状態でしたが、最後まであきらめないで走り抜いてゴールしたことに、形は違っても夢はかなうことを感じ取った人もいると思います。結果だけが全てではなく、挑戦する過程に意味があり、夢を追い続けることだけが、思い描く夢をかなえてくれるのです。恐らく高橋選手は、もう次の夢を描いている筈です。マラソン終了後の会見では、昨夏にひざの手術をしていたことを明かし、現役続行を表明しました。
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