時々慰問活動を行っていますが、平成19年暮れの慰問活動では、先輩の前田興志夫さんと加門信志さんにはハーモニカ、山本正巳さんにはギター演奏で協力してもらいました。三名の方の演奏に合せて私達が歌を歌うことにしました。三名の方はそれぞれで活動していますが、三名で組むのは初めてのことだったので、即席バンドと名付け、事前に約1時間の音合せと歌合せを行い本番に向かいました。
この慰問活動は大成功でした。入居者の方を初めとする、集まってくれた近隣の方の大半は一緒に歌ってくれて大きな輪となったからです。実は毎月のように慰問活動を行っている前田さんが、高齢者の皆さんに楽しんでもらえる曲を選曲してくれたのです。
一曲目の「千の風になって」からスタートとした演奏から会場に一体感が生じました。皆さんの馴染みの歌とクリスマスソングでしたから自然と歌詞が出てきます。ラストから二曲目の「禁じられた遊び」になると、参加者が涙ぐんでいるのが分かりました。後で伺うと、「この曲には特別の思い出があり、久しぶりに聴いたので涙が止まりませんでした。」と言うものでした。最後まで涙が止まらなかった、そんな気持ちにしてくれたことを喜んでくれました。
アンコール曲は「瀬戸の花嫁」。この曲は、もう何十年ぶりに歌ったのでしょうか。歌っていると突然、小学校時代のことを思い出しました。昭和の何年頃に流行したのか忘れましたが、当時、ヒットしていて小学校のクラスの発表会で何人かと組んで歌ったと思います。何故か、それを詳細に思い出してしまいました。歌には記憶を呼び覚ます作用もあるようです。本当に懐かしく、皆さんと一緒に昭和の時代に戻った瞬間でした。
終わった後の皆さんの温かい笑顔が何とも言えませんでした。冬に温かさを感じること、間違いなくこれは最高の気分のひとつです。
「次も来て下さいね」、「待っていますから」。この言葉がただただ嬉しいですね。主となってくれた前田さんも「即興だったので恥ずかしいですよ」と汗だくになりながらも笑顔です。そして「必死で演奏していたので、涙ぐんでくれた人がいたことに気がつきませんでした。もし気付いていたとしたら、こちらも感激して演奏にならなかったと思います」。
加門さんは「ホッとしました。ハーモニカを吹いて背中が痛くなりましたよ」。楽器演奏は姿勢を保ちますから、ハーモニカを1時間近く演奏することは体力的に大変なことなのです。
山本さんはこの日のために大阪から来てくれました。「次回も声を掛けて下さいよ。練習を何度も繰り返すよりも、実戦の方が技術を保てるのですよ」と笑顔でした。
慰問を通じて皆さんと時間を共有する。この活動は続けていますが、何故か温かい気持ちになります。一緒に歌を歌うことで笑顔を共有できる、そして子どもも大人も歌によって同じような気持ちになれるのです。今年も温かい冬がやって来ました。感謝の気持ちを込めて、何時までも続きますように。
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