476.言葉の力
 言葉には生きてきた人生の全て、そして人格が全て現れるものです。人格を形成しないでその場を取り繕ったとしても人は誤魔化せないものですから、言葉を磨くことは良い生き方をすること、そして人格を磨くことをから始めなければなりません。人は生き方に応じた言葉を自然のうちに使うのです。心のきれいな人はきれいな言葉を使いますし、温かい心の持ち主は温かい言葉を使います。残念ながら荒んだ気持ちにいる人の言葉は荒んだものになります。言葉は気持ちを現わしますから、嬉しい顔と嬉しい言葉は常にセットなのです。その証拠に、腹を立てて相手に向かって「ありがとう」と行ったところで、ありがとうの気持ちは相手に伝わらないばかりか、裏腹な態度が浮き彫りになるだけです。

 ある人の体験です。自分が悪くないのに上司から注意された時、上司に背中を向けたままで「分かりました。」と言ったところ、その上司から「あなたの背中が聞いていないと言っているよ。」と言われてハッとしたそうです。言葉と態度が違っていると、相手に言葉が伝わらないのです。そうです。自分の言葉には絶対の責任を持つべきなのです。
 
 言葉の力を感じた事例をもうひとつ紹介します。朗読家による朗読を聞かせていただく機会がありました。最初は目を閉じて朗読劇の中に浸ろうとしていたのですが、少し感じが違うと思い、朗読家の表情を眺めながら物語に聞き浸りました。登場人物に応じた音色と表情がそこにありました。楽しそうな場面では、楽しそうな表情に変わり、そして言葉が楽しそうになります。これから物語がどう展開するのか、主人公が不安に思う場面では、不安な表情に入りそして言葉も変化します。言葉と表情は一体であることで真意は相手に伝わるのです。まさに言葉の力、表情の力です。

 素敵な言葉はみんなを幸せにしてくれます。そしてみんなが幸せになれば、みんなが幸せを自分に運んで来てくれ、私も幸せになるのです。言葉に出して分かることがありますし、見えることもあります。幸せは見ることは出来ませんが、言葉にすることで見ることが出来ます。

 実は言葉はベクトルなのです。言葉には向かう方向もありますし、太さ(→)細さ(→)もあります。相手に向かって思いを込めて言葉を掛けないと、相手の耳に届く手前で声が落ちてしまいます。(↓)これは声のベクトルの方向性は合っているのですが、声の線の太さが足らないからです。

 朝、職場に入って「おはようございます」と言ったのに誰も挨拶が返ってこないことがあります。これは自分の挨拶の言葉のベクトルがどの方向に向いているのか(→↑↓←)定まっていないため、挨拶のベクトルが誰にも向かっていないのです。だから挨拶が相手に届いていないのです。朝の挨拶は、不特定多数の人に言う場合でも、誰かに的を絞って太い言葉のベクトルで声を掛けましょう。「→おはようございます」と。そうすれば挨拶の言葉を掛けた相手から「おはようございます」と挨拶が返ってくるようになります。言葉は矢印となって相手に向かって飛んでいくことに注意しておきましょう。
 自分の言葉に心を込めて、そして伝える相手に向かって太いベクトルで飛ばしましょう。
 そうすれば思いは伝わります。
 地球上では人間だけが言葉を使って意思表示を行うことが出来ます。そして自分の気持ちを言葉にして相手に飛ばすことが出来ます。方向を定めて、強く太く。言葉の力を信じて思いを伝えましょう。それは相手にも天にも届き、言葉の力が思いに応じた幸運を運んできてくれます。そして思いは現実のものになっていきます。思いを言葉にして誰かに伝えることで言葉に発したことが現実になる。信じようと信じまいと、これが言葉の力です。

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