私達の暮す世界には色覚に異常のある方がいます。これは特別なことではなくて人の人格や性質、体長は皆違うのですから、違った当たり前の人が気持ち良く過ごせる社会に近づけるように行政も個人も取り組む必要があります。
身体に障害のある方も健常者も気持ち良く快適な生活を過ごせるような製品が近年市場に出ています。ユニバーサル・デザインと呼ばれるものです。このデザインは見た目だけでなく使い易いように工夫されています。
例えば、シャンプーとリンスの容器は同じでも、突起物に違いを持たせて、洗髪中でも指先で見分けられるようにしたデザインがあります。飲料水の自動販売機の取り出し口を胴体の真ん中辺りに取り付けることで、屈まなくても缶を取り出せるようにした製品があります。これらはユニバーサル・デザインの特徴的なもので、従来の製品よりも利便性が高められているのです。
さて色覚異常の方の中には、青や赤などの色の違いを見分けられない方がいるのも事実です。一般的に標識やポスターなどはその求められる役割上、人目を引くため、目立たせる必要があるためカラフルになったり、微妙な色の違いを取り入れたりしたものがあります。それだけなら良いのですが、災害時の避難場所の標識や交通安全の標識の中には、色覚異常の方が判別しにくいものもあります。
今までは余りカラーに関しては意識していなかったのですが、この分野にもユニバーサル・デザイン・オブ・カラーと言う取り組みがあるのです。つまり色覚異常の方が判別し易い色使いを取り入れたポスターや標識に変更することで、誰でも安全で快適な社会生活を過ごせることに資することにつながります。そして誰にでも判別しやすい色使いは、健常者にとっても分かり易いのです。
何かの障害があることを特別なものだとするのではなく、誰でも何らかの不具合はある筈です。その不具合を意識しなくても、自然な行動で安全で快適な社会生活を過ごせる世界とまちを築くことが大切です。それ以前に、誰にでも優しいまちづくりを心掛けることだけでも大きな進歩です。このような考え方を持つ人が多く暮らすまちは他人に優しいまちになっていきます。
嬉しいことに和歌山市では、ユニバーサル・デザイン・オブ・カラーの取り組みが始まろうとしています。印刷に携わっている人達が立ち上がろうとしているのです。印刷の仕事は色が命であり色のプロ集団ですから、単なる優れたデザインではなく、色覚異常の方にも分かり易く、そして誰でもが色を楽しむことが出来るような色使いをポスターや標識に取り入れようと考えています。和歌山市からこのような動きがあることは、大変好ましいことです。
そしてこのユニバーサル・デザイン・オブ・カラー取り組みに協力してくれたのが、NPO活動をしている皆さんです。NPO活動をしている方々は、日に優しいまちづくりや社会的弱者を守るための取り組みに本当に協力的で、一緒にいると頭が下がります。熱心に私達の取り組みの説明を聞いてくれた上で意見を出してくれました。何事も、一方的に進めるのではなく、関係する皆さんの意見を聞き、改善案を取り入れることで、本当に望んでいるものが社会に送り出されることになります。
NPO法人の取り組みは、行政機関なら手続きや時間を必要以上に要して、時期を逸してしまう恐れのある企画にスピード感を持たせてくれます。スピード感は仕事の命です。スピード感を感じさせない仕事に良いものは少ないのです。スポーツならプロとアマチュアの違いはスピードですが、仕事も全く同じです。
スピード感のあるメンバーでの話し合いは気持ち良いくらいに進展していきます。
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