企業が求める人材の資質について意見交換をしました。人材に求める条件は様々ですが、最近はサービス力の向上や、人間そのものが持っている力を評価するようになっています。一時期、価値を生み出さないとされていた挨拶や礼儀、マナーや品格といった人が持っている本質的な資質が見直されています。これらの要素は表面に現れないため履歴書に記載されることはありません。多くの技能や資格を持っているよりも、人本来の素養である知性や品格から滲み出るものが価値を生み出すと評価されているのです。
自由奔放に生きていては、知性や品格は身につきません。最近、名刺の受け渡しや応接に通された時の座る位置、エレベータの乗り方や乗る位置などを知らない人が増えているようです。それどころか、大切な取引先の会社を訪問した際に、名前も名乗らず挨拶も用件も告げないで、窓口で「○○さん、いる?」とぶっきらぼうに聞く従業員もいると聞きました。これでは仕事のパートナーとはなり得ませんし、会社同士の信頼関係も構築出来ません。
これらの事例からも人材の大切さが分かります。そして優れた人材、つまり知性と品格を持った人材は、優れた組織や企業の先輩や上司、風土の中で揉まれた経験から身につくものです。決して数時間だけの講義やロールプレイだけでは自分のものになりません。それはあくまでもきっかけなので、後は自分でそれらを高める取り組みが必要ですが、それには組織の文化や周囲の環境がとても重要です。
全体で組織や企業価値を高める環境があることで個人も高めてくれますが、逆の場合だと個人の資質は高まりません。人を育てるのは優れた環境です。
そのような環境で育った人は、基本的な社会のマナーを身についているだけではなく、内側から滲み出るような品格があります。それは決して短期間で身につけられるものではなく、取り繕っても無理な素養です。
新しく人を採用する場合は、技術や資格ではなく、長年に亘り培ってきた素養を重視しています。それはお客さんと会い、何気ない会話を交わす場面で発揮されるものです。お客さんと直接会う従業員が、会社の印象を左右するのです。無形の人の価値を会社が評価し始めています。直接的な技能や技術ではなく品格が重視される社会では、人材が会社の信頼を決定することも有り得ます。
一時期、多くの会社では雇用調整や契約社員の形態を取り、人件費を低下させ経営を安定させていました。しかし企業は人ですから、今また、必要な従業員を迎えようとする動きが出始めています。人材こそ人財ですから、会社にとっての財産であり、最も重要な経営資源でもあります。人を大切にする会社が伸びるのは当然のことです。
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