高校スポーツの監督さん達と懇談する中で、国際試合や国内での試合における試合開催地によるコンディション維持の難しさが認識出来ました。国内での試合の場合、和歌山県代表であれば気候や食事で困ることは少ないようですが、それでも場所によってコンディション維持に気を使っています。高校総体の開催地が北海道や沖縄の場合は特に選手の体調管理が大変だそうです。
沖縄代表の選手が初めて北海道で試合をする場合、気温が低いため半袖のシャツだけを持参していることから体調不良を起こし試合にならない場合や、逆に沖縄での大会に北海道の選手が参加すると朝からの暑さで体調を壊してしまいベストの試合が出来ない場合もあるようです。
更に海外遠征の場合は、時差、文化の違い、食事、移動などの条件が国内とは異なりますから、万全の状態で試合に挑むのさえ大変な場合があると聞きました。高校生の場合、クラブ活動の予算が限られていますから、試合前日夜の移動で現地入りし、翌朝直ぐに試合をすることもあったそうです。現地入りして数時間で開催国と試合をしても勝負になりません。そして夜の食事、初めての国であれば食材や香辛料によっては口に合わない場合があり、帰国後3kgも体重が減った選手もいたそうです。
また文化の違いもあります。日本ではスポーツは礼から始まり礼に終わることや、グラウンドやコートは神聖な場所だと教わります。ところが国によっては単なる試合をする場所、或いは普通の公共場所のような感覚がある国があります。バレーの試合中、相手選手が平気でコートにつばを吐くことがあるようで、これには日本選手は耐えられないそうです。コートは神聖な場所だと思っていますから、それを汚されているような気持ちになること、つばを吐く行為が気になって試合に集中出来ないことなど実力を発揮出来ずに終わる場合もあるようです。
これらの条件と文化の違いから、日本代表がベストの体調と精神状態を持って海外で試合をすることは本当に難しい問題だと言います。
本日サッカーワールドカップの決勝が行われます。日本代表チームは予選で敗退しましたが、これらの話を伺うと単に表面上の問題だけでは評価しきれない問題が潜んでいるようです。
これらの監督さんから伺うと、海外での試合に普段の精神力で挑むための一番の処方箋は慣れることだそうです。海外でプレイする機会を多く経験すること、海外のクラブに所属することなどの経験が最も大切なことです。日本人が海外での国際試合で実力を発揮できないで敗退する場合がありますが、これは精神力の弱さではなく経験の少なさから来る不慣れが原因であることも考えられます。ヨーロッパのプロサッカーチームは国境を越えた選手の移籍や試合をすることは日常です。これらと比較すると多くの日本選手が場慣れしていないことも事実ですから、国際試合で戦うためには、この点を解消する必要性も感じます。
この場慣れの問題は、スポーツだけではなく私達の仕事も同様なことがあります。人前で発表すること、重要なプレゼンテーションをする場合など慣れていないと上手く進まないことがあります。どれだけ自然に予行練習をしようとも実戦には適いません。場に出て経験を重ねることが初めから、場所と相手に呑まれない秘訣です。
|