372.地域に横たわる壁
 和歌山市出身で一部上場の証券会社に勤めていた方が和歌山市に戻って来て会社を経営しています。誰でも知っているコマーシャルを仕掛けた実績もあり、黙っていても企業で出世したであろう方ですが、経済的に低迷する和歌山市を何とかしたいと考えて戻ってきてくれたのです。
 東京から戻って数年が経過し経営者として実績を重ねていますが、存在感が出始めると立ち塞がる壁が出てきました。和歌山市の業界においてある意味調和を保っていたところに、新進気鋭の経営者がお客さん本位の経営を始めたので、それに対する抵抗が発生しています。

 新進気鋭の方策の一例として、季節に応じた商品の提供、休日であってもお客さんの要望があれば体制を整えて営業をする、従来にない店舗とするため内装にお金を掛けてリニューアルするなどの方策を講じています。前例がない取り組みをすることは、前例を踏襲している人にとっては迷惑な話なのです。
 話を伺うと寝る間もない程、大変なご苦労をされています。既存の事業者は和歌山市と言う比較的小さな市場での立場を確保するために、締め付けや明らかに不当と思われる要求が毎日のように来ています。
「 」は不当な要求の例。( )は私の感想。

「迷惑を掛けたのだから詫び状を書け」
(別に正当な競争をしているのだから、民間事業者間で詫び状を提出する必要はないのですが・・)
「営業停止にしてやるぞ」
(民間事業者が民間事業者を営業停止出来る訳がないのですが・・)
ある人の披露宴に際して、式典のためのディッシュなど機材を借りよう(大量の需要が発生した場合借り受ける契約をしています)とお願いしたところ、「二日前に依頼されても対応出来ないので無理。自分のところで揃えて下さい」
(会社間の問題を、一生に一度の晴れ舞台を迎える新郎新婦の式典に影響を及ぼす行為はすべきではありませんし、心のない行為は信義則に反するような気がします)

 まだまだありますが、言葉の暴力を浴びせています。この経営者は冷静に対処しようと心に決めて浴びせられる汚れた言葉に耐えていますが、和歌山市内で起きている悲しい出来事です。
 優れた人材が和歌山市に戻ってきて地域活性化のために頑張ってくれているのに、それを快く思わない人達がいることが地域の活力を奪っているのです。この事実を知った限りは、地域として新進気鋭の経営者を守り支えていく必要があると思っています。若い人が正当な道を歩いて社会で活動しているのに、それを潰そうとする行為は許されるものではありません。通常であれば、正当な道を歩いている若い人がいるとそれを支える力が働くものですし、仮に妨害する行為があるとすれば、地域社会から妨害者に対して自制させるような力が働くものです。そうなっていない構造が和歌山市の問題だと改めて感じます。

 常に若い力が出て来てくることにより地域の活性化が図れます。後を任すことが出来る地域としての後継者が誕生することは喜ばしいことですから、守り育てられる地域であって欲しいものです。
 一人では立ち向かえないことでも、複数の人が支えることによって巨大な相手にも向かうことが出来ます。正義を貫いている経営者ですから支援の輪が拡がる筈です。和歌山市の壁に打ち勝って下さい。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ