327.生き甲斐を感じる
 和歌山市の小中学校でも全国から例外ではなく不登校が増加しています。推計ですが和歌山市内の小中学生の不登校生徒は約400人とされています。内訳は小学生が約100人、中学生が約300人です。
 カウンセリングによって不登校の生徒と付き合っている先生は、本日4月9日月曜日、胸をどきどきさせながら迎えたそうです。その理由は、本日、和歌山市内の公立中学校の入学式で、不登校だった小学生が中学校入学の日を迎えたからです。結果を聞いてみると無事入学式のため登校したそうです。入学式を終えた後に入学式へ行ったことの報告を受け、先生にとって本当に良かったと感激した日となりました。一人の不登校生徒を学校に戻ってもらうことは大変な労力を伴います。先生と家庭での指導や説得にも応じない生徒の心を開いてもらうのは並大抵なものではありません。
 資格を持っているだけでも、カウンセリング技術だけでも無理ですから、心を持って聞いてあげる、そして自分のこととして関わってあげることが必要です。何よりも気持ちが全てを動かせます。技術論ではなく気持ち論が社会の本質的な部分を動かしています。
 
 他にも不登校や社会的ひきこもりを解決した事例をお聞きしました。
 ひとりは大学卒業後、社会的ひきこもりに陥ってしまい、それから15年一歩も家から出なかった子どもがいました。ですから仕事経験はなく人との付き合いも出来ない状態でした。大人になった子どもがひきこもった場合、相談するところは見つけにくいのです。解決方法を見つけられない両親は、評判を聞きこの先生のところを訪ねました。
 社会的ひきこもりになった要因を話し合いの中から探し出し、その時の気持ちに戻って社会的ひきこもりの基になった要因を溶かし始めます。継続した取り組みの結果、仕事をする意欲を持ってくれるまでに至り、現在、大手飲食店での仕事を見つけました。

 先日、この元社会的ひきこもりの方が先生に報告に訪れたそうです。
 先生「仕事面白い?」
 子ども「面白いわ」
 先生「どんなところが面白い?」
 子ども「サービスを行った後、お客さんがありがとうと言ってくれた時、本当に嬉しく思います」
 仕事に生き甲斐を見つけたことから、社会的ひきこもりの要因は姿を消しています。社会の中で役割があることを見つけ、生き甲斐を持つことで社会との接点は拡大していきます。生き甲斐を見つけられたらもう大丈夫です。先生は二度と戻ってきては駄目だよと心の中でつぶやいて元生徒を送り出しました。

 もう一人は大学教育学部を卒業した後、就職したのですが、職場が合わなかったため仕事を辞め家にひきこもってしまいました。約10年に亘り家から出ない生活を過ごしていたのです。どうにも出来ない両親が、先生のところを訪ねてから事態は好転していきました。この場合も徹底的に話を聞き、社会的ひきこもりになった要因を探ります。その不安部分を解決することで気持ちが前向きになって行きます。
 現在、子どもに教えることを目指した夢を取り戻し、大手進学塾の講師になって活躍しています。立派な講師として子どもに教える毎日を過ごしています。生き甲斐を感じられているため、これからも大丈夫です。

 人生には生き甲斐を持つことが必要です。他人の喜ぶ顔が見たいと思う気持ち、他人を向上させるお手伝いをしたいとの気持ちなどが自分の生き甲斐となります。一人ではなく社会の中で自分の行為によって他人との関わりを感じることが出来たら、それが生き甲斐となります。社会が自分を必要としていることを実感することが出来たら気持ちが良いものです。

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