人を育てる心の架け橋は、向かい合っている人との温かいコミュニケーションの中にあります。講師が生徒に知識を伝えるだけではなく、学んだことを次に伝えられるような教え方をすることが双方にとって大切です。
ある講師の方は講義をしながら、後に続いてくれる若い人を育てています。自分ひとりで伝えられる時間と範囲は限られているため、若い人達を育てることで講師自身が届かない範囲にも間接的に届き、多くの人が幸せになるしくみを拡げたいと活動しているのです。
この講師の先生が関わった事例ですが、ある市で10回連続の講義をしたことがきっかけとなり、講師がいなくても学習の輪を拡げようとラビットママ講座を、講師から学んだ生徒が講師となって開講しています。生徒達は講師の方から学んで成長した分を、今度は地域にお返ししているのです。これが講師の方が望んでいる成長の姿と地域のあり方です。教えてもらったことをアウトプットすることで成果を確認するとこが出来ますし、学んだ知識を他の人に伝えることが可能となります。
知識とは頭の中に蓄えるものではなく、自分の考え方を付加して吐き出すことに価値があります。教えられた側が教える側に回った時、知識の再確認と新たな気付きがあるものです。
つまり全ては気持ちの持ち方から始まります。自分に欠けているものを吸収する気持ちがあると人は成長しますし、他からの良いものを吸収するだけの懐があれば、成長の速度は増して行きます。
一見、仕事に関係ないように思える講義でも、実は仕事や生活と密接に関係しています。人を育てるには自分の気持ちを優しく持つ必要があります。上司や後輩との関係や職場の人間関係においては、温かいコミュニケーションの方法を学ぶことは十分過ぎるほど意味を持つものです。
親と子どもとの関係、教師と生徒との関係と同様に相手を思いやる気持ちをもって接することで人間関係は変化するものです。人は教師や会社員、そして母親業などひとつの経験は誰でもするものですが、幾つもの社会経験をすることは重ねることは難しいものです。ですから、様々な職業の方と話し合っている経験豊かな講師の方から学ぶことはたくさんあるのです。
要は信頼出来る他人からの言葉を素直に受け入れる姿勢があるかどうかで、人のその後は変わってしまいます。発せられたエネルギーは消え去らないように、人の暖かい気持ちは形を変えて人から人へと循環して行きます。暖かい気持ちを受け取った人は、他の誰かに温かい気持ちを伝えようとします。
技術や知識はやがて忘れ去りますが、他人から受け取った言葉による暖かい気持ちは中々消えないばかりか、暖かさは次々に伝播するのです。
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