267.地域の安全
 全国的に教育委員会を中心に児童の安全対策を講じていますが、民間でも民間で出来る安全対策を講じています。全国を見渡しても安全対策が進んでいる都市では、既に地域安全マップを作成するなどして子どもの安全対策を講じています。安全対策が進んでいると聞こえてくるのは東京都、広島市などですが、その施策に関わっている方の参画も可能だとお聞きしたので、和歌山市でも至急対応する必要があります。

 今までの活動の様子から、最初は子どもの安全問題に取り組んでいるNPO法人などと協働すると効果的です。教育委員会に企画を持ち込んでも即座の対応は難しいため、急を要する施策は民間から行動を起こす方が最初の一歩はスムーズだからです。
 安全対策の一環として地域安全マップがあります。地域安全マップとは、子どもを被害者にしないために犯罪の起こり易い場所に行かせないことを目指して作成する地図のことです。犯罪の起き易い場所とは、入り易い場所と見えにくい場所ですから、その場所を子どもは勿論大人も知っておくことで立ち入りを予防することが可能です。ここでいう危険な場所とは、犯罪が起きた場所や不審者が多い場所を示すものではありません。子どもと大人が一緒になって、危険な場所を洗い出す作業をすることによって発見出来る場所を指し、この作業を通じて安全への嗅覚を研ぎ澄ますことや安全意識を高めることにつながります。地域の大人が予め、この場所は危険地域ですからと指摘しても、子どもの安全意識は高まりませんし危険を察する能力は身に付かないのです。

 単に子ども達に対して、知らない人に近づかないことなどの指導をするのではなく、犯罪が起き易い場所にいる大人には近づかないこと、安全な場所にいる大人とは話しても良いことを教えてあげることで社会のしくみが分かってきます。和歌山市内のある校区では、子どもの安全のために交差点や校門の近くなどで通学の様子を見守ってくれている大人の方達がいます。悪い人がいるかも知れないけれど良い大人もいることを知らせることも、地域の大人として大切なことです。社会には様々な人で構成されていて、その中で危険な場所や人を見分けられることが身を守ることになります。
 初めての場所に行っても危険な場所を感じ取る能力を身に付けることで、遠出をしても仮に転校しても油断を避ける能力は同じですから役立ちます。地域が子どもを育てることを私たち大人こそが認識しなくてはならないのです。会社組織での成果主義、社会における能力主義、遊び部分を無駄と考える効率主義などが、私達を地域社会の出来事から無関心に向かわせていきます。大人が地域に注意が行かなくなった隙間に危険が潜んでいるようです。

 本日懇談した民間の方からは、何とか子どもの安全を守るための取り組みをしたいと強い意向を示してくれました。和歌山市で地域安全マップを作成し、子どもを犯罪から守るためのしくみ作りに着手したいものです。
 安全は警察任せ、行政任せ、学校任せではいけません。地域に暮らす私達が危険な場所をなくし、不審者が動きにくい環境を作り出して行きたいものです。

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