和歌山市にシネコンが出来てから映画を楽しむ人が増えています。シネコンの特長は映像や音響の良さ、座席が広くて見やすいことがありますが、何よりの長所は上映している作品の多さです。
従来は上映作品を確かめてから映画館に出掛け見たい作品を鑑賞していました。ところがシネコンでは、和歌山市内の場合10スクリーンがありますから、まずシネコンに出掛けることから始まります。映画館の入り口で上映作品を選ぶ楽しみがあり、気に入った映画があれば鑑賞すれば良いのです。10スクリーンあると上映時間の組み合わせにより1日に13の映画の上映が可能となるため、観たい映画が見つかる訳です。
映画館をレジャー施設として捉えまず行ってみる。そこで観たい映画を選択して楽しむ。待ち時間があれば併設しているコーヒー店で味わうことが出来ますし、鑑賞後、大型書店で本を見る、少しランクの高い買い物を楽しむなどの、今までの和歌山市のライフスタイルとは少し異なった体験が出来ます。
これは消費者自らが行動することで新しい楽しみを発見しているようです。地方都市では通常、月曜日から金曜日までの昼間の映画館はそれ程の賑わいはありませんでしたが、現在ではリタイアされた方や夫婦を中心に昼間の映画館賑わっています。全国的に、夫婦の一人が50歳以上であれば二人で2,000円の料金で鑑賞できる料金体系になっているように、生活の中に映画を取り入れられる環境にあります。
土曜日と日曜日は家族連れやカップルで賑わっていますから、今までになかった平日のマーケットが新たに出来たことを示しています。新しいライフスタイルが出来るとシネコンも採算が取れますから、上映作品も新旧織り交ぜて増加していきます。
映画は文化です。自分だけでは体験出来ないことを疑似体験出来るため視点を広げられますし、自分の世界を広げるためにも有効なものです。感性を高めるためには映画を薦めている人も結構多いのです。まして文化の少ない地方都市においては、都会とタイムラグのない文化のひとつが映画ですから、流行も含めて生活の中に映画を取り入れたいものです。
決まりきった生活の中からは新しい発想は生まれませんし活気も出てきません。好きな映画を見ると一本の映画からでも学ぶことは多いのです。
かつては1年間一度も映画を見たことがないと言う人が結構いたのですが、シネコンのお陰で最近では気軽に映画を楽しんでいる人が多くなっています。事業主は映画だけを提供しているのではなく、文化や生活のあり方までも提案してくれています。家族で楽しむこと、カップルで盛り上がること、熟年になって一緒に出掛けられる場所であること、などライフスタイルに応じて楽しみ方は様々です。
映画を上手く生活の中に取り入れて、気分転換や発想の転換を行いたいものです。非日常の空間が自分のまちにあるだけで文化的に豊かな気持ちになります。文化を提供してくれるシネコンは、合理的、効率的なものを追いかけるまちの中にあって貴重な空間です。
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