和歌山県の卓球競技に尽力を尽くしている那須さんから、機会があれば教育問題の中に子ども達へのスポーツについても取りあげて欲しいと依頼を受けました。
和歌山市のような中核市規模のまちなら、スポーツ施設がもっと充実しているべきだといいます。他都市と比較して施設は少なく、しかもスポーツ施設は県営のものが多いのが現状です。卓球競技の場合、会場は体育館で、試合中は館内を締め切りますから夏の暑さは大変です。空調設備がある体育館は県内で4箇所程度だとも聞きますから選手も暑さ対策が大変です。
さてスポーツ文化が根付かない地域柄ですが、卓球においては全国トップレベルの選手を招いて子ども達と接触する機会を持っています。トップレベルの選手に来てもらうと経費は相当必要ですが、卓球クラブに所属している未来の選手達のために活動の柱にしています。先般も東京から講師を招いて約400人の小・中・高校生を対象に講義を行なったところ、誰一人として無駄話をしないで熱心に聞いていたようです。子ども達はそれ程、トップレベルの選手から何かを学ぼうとしているのです。
普段の練習ではなかなか話を聞けない選手からの講義と実技は、最高のお手本と熱意向上につながります。一瞬も無駄にしたくないという向上心があるから、子ども達の技術が伸び健全に成長してくれます。卓球スポーツクラブに所属している子どもは全員、素直で健全な子ども達だと自信を持って話してくれます。最近は気持ちの悪い事件が多いのですが、これは他人とのコミュニケーション不足、スポーツや文化に親しんでいないなどの要因があり、社会が不健全な方向に向かっていることを示しているようです。
しかし自らの技術を向上させ、指導者である大人とのコミュニケーションを図り、練習や試合を通じて他人とも接点を持っている子ども達は健全に育っているようです。和歌山市の卓球文化を更に育成するために活動をしている姿には感銘を受けます。
子ども達のために費用も企画も自ら請負って実践している姿があるからこそ後輩もついて来るのです。後輩の一人は、和歌山市から卓球のオリンピック選手を育てるため自費で卓球練習場を建設し始めました。体育施設や倉庫を購入して練習場にしようと思っていたのですが、適当な物件がなかったため費用はかかるのですが、夢のためにお金を使う決心をしたのです。この練習場は平成18年夏には完成する予定ですから、ここからオリンピック選手が飛び立つのが今から楽しみです。和歌山市でも大きな夢が育っています。
さて那須さんは卓球に関わって約50年を超え、選手としても協会役員としての活躍も認められ、平成17年の秋に叙勲されています。後輩も続いていますから、今後とも指導者として活躍されることを心からお祈りしています。
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