地方財政改革には「3種の神器」がキーワードです。それは「事業仕分け」「公会計」「国のコントロール撤廃」の3つの条件が必要不可欠だとするものです。
行政機関の仕事を見直しすると、現在の事業範囲を70%まで絞ることが可能です。不必要とされる30%は、止める、民間へ移行する、他の行政機関に移管する方法があります。もうひとつの軸となる行政機関の事務コストも無駄を省くことで70%まで減らすことが可能です。一定の基準に従って無駄を省き、事務手続き上の時間の無駄を削減することで達成出来るものです。仕上がりとしては70%×70%で49%、凡そ行政機関の仕事は現在の50%程度まで縮小することが可能です。
それなのに何故余計な仕事をしているのかというと、事業の是非について地方自治体が深く考えていないことがあります。前年から、或いは過去からの継続事業なので、時代背景が変化しているにも関わらずそのまま予算化している場合があります。
もうひとつの要因は国からのコントロールです。法律や中央省庁からの通達や基準に基づいて仕事をしているため止められない仕事があります。
ですから国と地方自治体のあるべき姿は、仕事の背後にあるコントロールを切るべきなのです。お金の問題、つまり財政問題だけが議論されていますが、それだけでは行財政改革につながりません。一定の仕事は法律や規則に縛られて硬直化していることから、見直しても廃止や移管することが出来ないのです。よって国と地方自治体は並列の関係にすることで、仕事とお金をそれぞれの機関で自己完結すべきなのです。
残念ながら現在の行政の仕事は、仕事とお金が一体となって地方自治体に下りてきています。一体となっているため、規制に縛られ国から関与される仕事に対してお金が配分されているため地方自治体の行政改革は進展していないのです。地方自治体の事業ごとに仕事とお金を仕分けし、仕事の背後にある国の関与と規制などの紐を表面化させることが第一です。国のコントロールがなくなると、自由に安価に行政の仕事が可能になるものが出てきます。
既に実際に仕事を仕分けしている事例があります。仕事の仕分けは、最初に必要な仕事か不必要なものかを分けます。必要であれば民間でも実施出来ないかを考えます。民間で出来るものを除外した後は、効果的に行政サービスが提供出来る行政機関はどこかを仕分けます。該当する仕事は、国や都道府県、市町村に振り分けていきます。
その結果、市町村では71%が継続すべき仕事となり、16%が国や都道府県で実施すべき仕事、13%が実施不要または民間で実施可能であり、その方が効率的であるものと見做されています。
都道府県では60%が継続すべき仕事で、30%が国や市町村の仕事、10%が民間で実施可能な仕事となっています。
ある県で事業仕分けをしている時の事例を紹介します。
その県ではポニーに子どもを乗せる事業を実施していました。
職員さんに理由を聞くと、青少年育成事業として子どもの心身の健全な発達のために個必要ですと答えがありました。それに対して具体的に何を行っているのかを確認すると、公園で子どもをポニーに乗せていますとの回答でした。そこで、子どもをポニーに乗せることが必要だとするなら、事業を実施している公園がある市に任せたら良いのではないですかと聞くと、青少年育成事業がいらないと言うのですかと怒り出す次第です。
事業仕分け作業は、批判をするのではなくて県が実施すべきなのか中身を考えてみようというのが主旨です。
さて真の行財政改革を実施するためには、事業コストを明確にする公会計の考え方を取り入れる必要があります。予算コストと実際のコストは同じではないことを知っておく必要があります。1億円の予算コストでも実際は1億3,000万円コストを要している場合があります。
それは予算コストと真のコストにズレがあるためです。地方自治体が認識しているのは、直接人件費や材料費などの支出コストと減価償却費、退職給与引当金などの発生コストまでです。民間企業ではそれらのコストに加えて、バックオフィスでの仕事に伴う間接人件費の按分計上などの間接コストを入れたものを総コストと考えます。更に進んだ企業になると、その仕事に付随して保有している不動産などの逸失利益などの機会コストを含めたものを真のコストと考えています。
地方自治体の決算のやり方では真の事業コストが分からないのです。真のコストを算出して事業の見直し要否を検討しなくては真の行財政改革に結びつきません。
「事業仕分け」「公会計」「国のコントロール撤廃」を実現する地方自治体が改革競争から抜け出すことになります。
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