立川市で新庄剛志選手と会いました。丁度、西武ライオンズと北海道日本ハムファイターズの試合が所沢で予定されていたため、新庄選手が立川市のホテルに宿泊していたためです。浅黒く均整の整った体はやはりスターです。
新庄選手についてかつては余り関心がなかったのですが、平成13年、メジャーのニューヨークメッツに移籍する時に関心を持ちました。それはある番組がきっかけです。
当事、阪神タイガースの新庄選手とヤクルトスワローズの川崎憲次郎投手が異なった選択をしたため、視聴者への電話投票で男女別に家庭と夢についての調査結果を行い発表したのです。同じフリーエージェントとなった新庄選手はメジャーへの移籍、川崎選手はメジャーのボストンレッドソックス行きを断念し、中日ドラゴンズへ移籍する選択を行いました。
さて調査結果は次のようなものでした。
男性「夢よりも家族を選ぶ」52%、「男なら夢にかけてみる」48%
女性「家族を選んで欲しい」22%、「夢を追いかけて欲しい」78%、との結果でした。
これは意外な結果でした。男性は岐路に立たされた時、夢と現実の間で悩み消極的決断をする傾向があり、女性は男性には夢を追いかけて欲しいと意見しているのです。女性のからは「夢を追いかける強さを持って欲しい」との意見が多数を占めていたのです。
夢を追いかけた新庄選手は、日本のチームから3年6億円の条件を断り、夢を追い求めて一年契約、年棒2,200万円の条件のメッツを選択したのです。2,200万円は当事の20万ドルでメジャーリーグ最低補償額でした。
この新庄選手を評して女性達は「家族だって、こういう男にはついていくわよ」と拍手を送ったのです。
この時の新庄選手の選択には驚いた記憶があります。多数の意見を占めていたのは、阪神でも大したことがなかったのにメジャーでは無理と言うものでした。
でもこの選択から新庄選手に注目し応援するようになりました。私達が苦悩してもなかなか出来ないような夢の選択をした人に対して、拍手を送るべきで評論することは失礼だからです。何よりも実績が評価されないと次の舞台に進めないという理由はありません。自分を信じて、未知の世界に挑戦する姿勢は素晴らしいものです。
予想に反して新庄選手はメッツの四番を務めたり、ワールドシリーズに出場した初めての野手となりました。
メジャーリーグの通算成績は次のようなものです。
打率.245、安打215、本塁打20、打点100、出場試合数303、打数876
ワールドシリーズ、出場3試合、打数6、安打1、打率.167
さてこの数字を私達は評価出来るのでしょうか。
数字だけを見て評価や批評をするのは自由ですが、私は評価する能力はありませんし、仮に評価するとすれば素晴らしい数字だとなります。
評価する理由は、その場所に行かなければこの数字は残せないからです。夢に挑戦した人だけが残せる数字です。メジャーで打率.245を残せる日本人は多くありません。ワールドシリーズで6打席も立ち1安打打っています。たった1安打ではありません。ワールドシリーズで1安打以上打った日本人は、今まで後のヤンキース松井選手だけです。当事は新庄選手が初めてでした。
日本人として初めてのことを成し遂げたのですから偉大な選手です。夢への挑戦を放棄した人にはこの1安打の価値は評価出来ません。如何に新庄選手といっても不安とリスクを抱えての挑戦だった筈です。
再び日本に帰ってきた新庄選手は絶大なる人気を誇っています。かつて阪神タイガースだから人気があったと思っていたのですが、新庄選手については個人の人気でした。
「There’s no next time(次なんてない)」夢を実現させて、今なお挑戦し続けている新庄選手の言葉から学べます。
一方、川崎投手はヤクルトから中日ドラゴンズへ移籍しましたが、故障により思うような活躍は出来ませんでした。現役でのメジャーは夢に終わったのです。勿論、自分の判断ですから後悔はないと思いますし、私が論じる立場でないことも承知しています。
新庄選手は今もハツラツとした現役です。この差は偶然かも知れませんが、夢に賭ける決断をした人に対しては物事が好転し、消極的判断をした人にはその後も消極的な人生が待っているような気がします。
夢か現実か、選択する立場に立った場合、私達はどのような決断をするのでしょうか。
その時、新庄剛志選手の挑戦を思い出したいものです。
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