182.守破離
 物事を達成する方法として守破離と言われる法則があります。
 守とは、真似をすることです。真似びとは学びの語源にもなっています。新しいことに取り組むには、師匠についてその技や教えを真似ることから始めます。趣味程度ならば我流でも良いのでしょうが、ある程度を望むのであれば師匠につく必要があると言われています。音楽家を目指している人は、小さい頃から一流の音楽家についてピアノを習います。一流の師匠に師事するのとそうでないのとでは将来大きな差が出るそうです。私には正確な理由が分かりませんが、ピアノも真似ることから始めるなら、一流の技術を真似ることはそれだけ一流の技術を習得することにつながるからではないでしょうか。到達地点が高いほど裾野は広がっていますから、吸収出来る分野も多くなります。
 芸術は一流の師匠につき、仕事は身近な先輩から真似ることから始まります。

 破とは、殻を破って脱皮することです。真似ることから基本の型を確立し、自分流にアレンジしていくことで成長します。型通りに留まっている限りにおいては師匠を超えることは出来ませんし、殻を破って自己を確立することは出来ません。
立派と言う言葉は、元来立破と書いていたそうです。立派になるのは壁を破って一人前になることを表しています。

 離は、自立した才能を発揮することです。どの分野でも型を学び、殻を破り自立すると、人を感動させることが出来ます。私達は稀に神業と呼ばれる場面を目撃することがあります。最近の例で言うと、2005年、ゴルフのマスターズの最終日16番ホールでタイガー・ウッズが放ったバーディショットが挙げられます。正に神業で、観る人全てを感動させたのではないでしょうか。私達からすると神業でも、タイガーからすると出来るものだと信じてのショットだったかも知れません。普段通りのことが既に私達の次元を超えているのです。
 離まで到達すると神業と呼ばれる業を発揮出来るレベルになりますが、そこに到達するには年齢は全く関係ありません。タイガーが世界の舞台に登場したのは10代の時ですし、世界のプロサッカー界では16歳までに世界レベルに到達しないと世界でのプレーは難しくなると言われています。
 年齢や経験が必要という今までの常識に囚われることなく、能力を向上させるための係数を高め成長することで高いレベルに到達出来ます。目指すべき分野は人によって異なりますが、まず学び、それを基礎として自分のスタイルを確立し、自立した業を身につけることに違いはありません。
 でも現実は真似る段階から脱却できないでいることが多いのです。自分のスタイルを貫くには技術以上に精神力が求められます。それでも高いレベルを目指すのであれば、真似るから脱却出来ない自分を信じることから始まります。

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