平成16年度までは各福祉施設からの整備計画に基づき県(中核市である和歌山市では市を通じてとなります)を通じて国に内申すると、審査の結果必要なものに関しては国から整備補助金が交付されていました。
その補助金は三位一体改革により廃止となり、平成17年度からは地域再生のための新たな介護・福祉基盤の整備に関する交付金が創設されます。変更の背景は、都市部での急速な高齢化の進展、住み慣れた地域で暮らせるためのしくみが必要なこと、介護予防への取り組み、そして介護福祉基盤整備の地域間格差を解消することにあります。
変更の大きな違いは、従来は個別の福祉施設毎に申請を行い補助要否の決定がされていたのに対して、平成17年度からは地方自治体が策定する整備計画に関する事業全体に対して交付金が支出されるように変更されることです。更に小規模多機能施設の事業者の指定と監督権限は、県から市長村に移されることになります。
交付を受けた地方自治体では、交付額の範囲内で配分内容を決定して、整備計画の事業内容を確定させることになります。
詳しく説明すると、市町村ではある程度の生活圏の範囲を決定し、その中で必要な福祉施設の計画を立てます。基本的には公立中学校区の範囲が生活圏となります。この生活圏の中にサテライト型特別養護老人ホーム、福祉ホーム、介護予防拠点、小規模多機能拠点、小規模通所授産施設、グループホームなどを配置します。そこに暮らす人に応じてその生活圏で必要とされる福祉施設が異なるため、当該地域の生活圏と隣の生活圏では配置される内容が異なってきます。
つまり住み慣れた地域で継続して生活が出来るように、介護・福祉施設は地域密着型を目指すことになります。そのための整備計画を地方自治体が策定する必要が生じ、民間事業者との連携を図ることが求められます。
具体的には、市町村は生活圏を単位として福祉サービス拠点を面的に整備する市町村整備計画を策定し国に提出します。国で審査の上、交付額が決定されますから、市町村では交付金の範囲内で自らの裁量で弾力的な執行を行うことが可能となります。そのため大型の特別養護老人ホームではなく、地域密着型の小規模多機能施設が活用されることになります。
市町村の役割は生活圏毎に福祉施設のあり方を描いた上で、不足する福祉サービスについて計画的に整備していくことです。地域によっては福祉施設の整備状況にばらつきがあり、地域間での格差を抑えるためにも市町村の計画性と民間事業者との連携が必要となります。福祉分野においても、地方分権時代における地方自治体の能力が問われることになります。
参考までに、特別養護老人ホームなどの広域型施設整備と既存施設の改修などは県が整備計画を策定し国に提出し、審査の上県に交付金が交付されます。県では交付金の範囲内で整備を行います。
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