「2004年度グッドデザイン賞建築環境部門」を、和歌山市の和歌の浦アートキューブが受賞しました。グッドデザイン賞は財団法人日本産業デザイン振興会が主催する総合的デザイン評価、推奨制度です。豊かな社会実現のために取り組んでいるデザインが優れたものが選ばれています。
和歌の浦アートキューブは、デザインが独創的であること、デザインが総合的な完成度に優れていること、人と人との新しいコミュニケーションを提案している、点が評価され、グッドデザイン賞を受賞しました。
設計者の有限会社AAEの下吹越武人さんは、全国の文化施設は敷居が高く一般の人は利用しにくい環境にあることから、敷居が低く誰でも気軽に利用できる施設を目指して設計を行いました。今では和歌山市の施設で最も利用率が高い施設のひとつとなるなど、私達の文化、芸術の拠点として活用が図られています。全国の文化施設の中で上手く活用されている先進事例となっています。
設計を開始する当時、下吹越さんは市民の方々と十分な対話を行い、市民参加型の施設として活用できるように設計を行っています。デザインの先進性、周囲の環境との調和も去ることながら、文化、芸術施設してカジュアル的に利用されている実態が評価されて受賞につながっていると感じます。
東京在住の設計者の下吹越さんは、和歌の浦アートキューブと設計の機会を付与してくれた和歌山市に愛着を感じてくれています。設計時は2年間和歌浦のアパートに家族とともに住み込みアイデアを膨らませました。今でも和歌の浦アートキューブという作品を代表作のひとつとして大切に思ってくれていることが、話の中から感じ取ることが出来ます。
若い設計者が見知らぬ地であった和歌山市のコンペに応募し採用されたことで、和歌山市との関係が築かれました。この先、下吹越さんがビッグになっても若いころに設計したこの作品は思い出に残る筈です。グッドデザイン賞を受賞したことで、記憶にも記録にも残る作品となりました。
建物も素晴らしいのですが、人のつながりが出来たことはそれ以上の財産ですし、今後も和歌の浦アートキューブを中心に絆は深まっていきます。いやしの地和歌浦の文化、芸術の活動拠点として将来とも中心になる施設ですから、今回の受賞は和歌山市にとって喜ばしいものです。設計者と地元関係者、行政関係者との交流は今も続き、情報交換することで運営も上手く行っています。
文化や芸術に関して活動拠点があるのとないのでは、生み出される成果は確実に違ってきます。景勝地に文化、芸術施設があることで、建物の存在価値は高まっています。
和歌の浦アートキューブと設計者の下吹越さんは、日本建築家協会(JIA)新人賞にもノミネートされています。建築業界からも評価が高いので、更に多くの賞が受けられることを期待しています。その度に、和歌山市にあるこの施設と設計者の評価は高まります。
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