法律家の仕事は机上だけに留まらないで、依頼者から相談を受けると話を聞くのは当然のこと現場の視察に赴きます。現場を見ることで全体像と詳細が分かるからです。
法律的な体系を作るのはその後です。相談を受けた内容で法律に照らし合わせても一般的な回答を導くことは出来ますが、依頼者の本質的な要望に迫ることは出来ないからです。
相談があると最初に依頼者の元に行きます。その理由は、依頼者の抱えている不安感を取り除き安心感を与えることが目的です。法律に詳しくない人が問題を抱えていても解決できる訳ではなく、不安感が増すばかりです。
依頼を受けた人が行うべき大きな仕事は、依頼者の不安感を払拭することにあります。そのためにはまず話し合いをすることが大切です。依頼者は困っていることを相手に話をすることで、詰まっているものを吐き出せます。依頼を受けた人は相談を受け応じることで相手の不安感を和らげます。その後、実務的な取り組みに入るのです。この順番を間違えてはいけません。法律家の仕事を一言で表すと安心サービス業です。
同じことが議員にも求められています。議員は法律のプロではありませんから、相談を受けても自力で解決できることは限られています。ただ依頼者が第一に求めているものは安心感ですから、法律的な知識を有しているよりも人柄や誠実さのある方が適しています。
最初は安心感を提供できる人柄が何よりも勝っているのです。
その次に議員は、問題を解決するための発想と市政に反映させるための企画力が求められます。相談事を単発的な事象であると放置しておくと同様の問題が発生しますから、行政全体の中でどのような問題なのか感じ取る感性が必要で、それを検証し提案する企画力と表現する文章力が不可欠です。
単に相談を受けて行政当局に投げかけるだけでは十分な役割を果たしているとは言えません。先日も議員の資質について話し合ったことがあるのですが、地方議員であっても一番求められているのは、企画力と政策提言能力だとその場では結論が出されました。市民と行政の仲介役だけでは、議員の果たす役割として不足だというものです。
法律家が法律知識を有していないと仕事が出来ないのと同じです。社会の変化に合わせて法律は作られ既存の法律も改正されますから、常に勉強する必要に迫られています。社会や依頼者の要請に答えるために勉強しているのです。
議員も同じで、勉強会に参加するなど能動的に研修の機会を求めないと遅れてしまいます。仮定ですが、和歌山市でいると勉強をしないでも遅れないとしても、先進的な取り組みを行っている全国的レベルの市からは置いていかれます。議員がサボっても直ぐに私達の生活に影響が出てきませんが将来に影響が出てきます。何故なら、私達が今の日本の中で豊かな生活を享受できているのは、先人が苦労して築いてきた文化と社会的、経済的な基礎があるからです。
現代を生きる私達がこの恩恵を食べ尽くしてしまうと、次世代にツケを回すことになります。時代に合った和歌山市の基礎を築くことこそ、豊かな生活を享受している私達たちが次世代のためにすべきことです。基礎を築くには勉強が必要なことは言うまでもないことです。
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