経済発展の過程は、企業が素材を作り販売することから始まりました。これが行き渡ると売れなくなります。それで付加価値をつけて商品化しますが、それで商売になります。そこから差異化を図るためにサービスを付加します。サービスは消えてなくなるから良いのです。
この発想は私にとってはコロンブスの卵とも言えます。私たちはモノ所有することに価値を見出しています。価値のあるものを所有することで満足感を満たしています。だから古い世代はモノに対してはレンタルよりも所有を望みます。でもサービスを受けることに慣れている世代は所有よりもレンタルの方が便利ですから上手く利用しています。
それでも自分が好きなもの、欲するものは所有する意思が働くのです。
モノは家屋を占拠しますが、どれだけ素晴らしいサービスを受けても消えてなくなりますから所有することは出来ません。所有権を絶対視している価値観を根底から覆すものです。消え去るものが良いと考えると行動は変わります。この発想の転換は新しいモデルをつくりますし、気づく人とそうでない人のこれからの行動は変わるような気がします。
さてサービスの次に来るのが思い出に残る経験です。この典型例がディズニーランドとラスベガスです。多くのリピート客を集めているのは、サービスの上を行く思い出に残る経験を提供してくれるからです。
観光では満足度を究極まで高めることでリピート性を持たすことが出来ます。健康サービス産業を定着させるためには、身体に良いと言っても一回だけでは良くならないので何度も来ていただけるしくみが必要です。体験やサービスを五感で味わうこととは触れ合うことです。
「Walking for pleasure」「Cycling for pleasure」の発想と体験が求められています。観光は「Sightseeing」ではなく「Sightdoing」に変化すべきです。体験と言うと「Adventure」を求めているように思いますが、多くの素人が望んでいるのは「Soft Adventure」です。炭焼き職人さんのような経験者が、初歩的なことを素人に教えて体験してもらうことが思い出に残る体験となります。
思い出に残る経験の次に来るものは何なのでしょうか。ディズニーもラスベガスも本物を提供していません。これからは本物を体験でき感動を提供してくれるものや場所を、人は求めます。それを用意できるところが観光のまちとなり得ます。
和歌山市が観光のまちを求めるのであれば、欧米と比較して日本では遅れている海のリゾート、ヨットやマリンスポーツ、素人でも出来る本物体験観光があることです。
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