和歌山市では、小学校で飼育している生き物管理に関する費用がありません。平成15年度までは市で予算化されていましたが、平成16年度は予算削減されています。削減の理由は、予算が使われていないから必要ないというものです。
確かに必要性が乏しい予算は削減すべきですが検証方法に問題があります。それは現場の実態を知らないまま机上だけで査定し削減したことです。実は必要な予算だったのです。
小学校で飼われている生き物のことで問題が起きています。
ウサギを飼育している小学校はたくさんあります。小学生のうちから生き物を飼い育てることで、命の大切さを学び生き物と親しむことを目的としています。今年の夏休み、ある獣医さんが小学校を訪れて驚いたことがあります。どこの小学校でもウサギが増えすぎて、弱いウサギが生命を落としていたのです。生命の大切さを教える筈なのに、生き物の命を粗末にしている現場として子供たちに映っていました。生き物の知識がない、飼いっ放しなどが原因です。
そこで獣医さんは小学校長に話しをして、無償のボランティアで避妊と去勢の施術を施しました。理由は先に記しましたが、檻の中の狭い空間でウサギが繁殖しすぎると弱いものが淘汰されるためです。子供たちが生き物に関する十分な知識がない時に、大人が命を粗末に扱っている様を見せてはいけません。どのようにして生き物を飼えばよいのか理解してから世話をすべきです。
小学校には、生き物に関する知識、世話のやり方などを有している人は少ないのです。獣医師さんがボランティアで見てくれていますが、教育の一環として小学校で飼育するのであれば、本来は先生が知識を持って飼育する必要があります。教育学部では生き物の扱いを実現場で教えていませんから、先生に知識がないのは当然です。命の大切さを子供たちに教えるために小学校で生き物を飼育するのであれば、先生方が飼育できるだけの知識と飼育経験を持たなくてはなりません。
心ある獣医師達は、大学で実習の機会を与えてくれたら学生のために教育に赴くと言ってくれています。学校の先生を志望する人にとつては大変ですが、小学生たちの大切な時期を指導する先生には、命の大切さを分かって欲しいものです。
さて問題提起した削減された予算は、ウサギなど生き物の避妊と去勢のための予算だったのです。鳥インフルエンザの問題で、獣医師が小学校に教育に入った時、ウサギが異常に繁殖して淘汰されている現場を見つけたから分かったものです。予算がないため無償で施術をしてくれましたが、毎回ボランティアとはいきません。命の大切さを子供たちに教えるためにもこの予算を復活させて欲しいものです。
使われていないから削るのは簡単です。何故予算かされたのか経緯と実態を調査して判断すべきです。現場を見て大切なことに気づくことがあります。
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