時代と共に出現する新しい業態やIT産の進展は留まるところを知りません。IT関係企業が採用を募るとたくさんの人が面接に来ますが、必要とする人材は少ないのが現実です。
IT関係の会社で必要なスキルとして技術は二番目です。技術は必要に応じて後からでも習得することが出来るからです。一番大切な要素は、人とコミュニケーションが図れる能力です。IT産業でも採用の第一ポイントは他人とのコミュニケーション能力ですから、世の中が進展しても人間として必要なものは今も昔も変わらないのです。
「IT技術力<人柄」となります。
技術を持っていてもお客さんと話が出来ない、あるいは職場でコミュニケーションが図れないと話になりません。お客さんを訪ねたら、挨拶をしてから用件を切り出すのは当然のことです。その挨拶すらまともに出来ない人が多いのです。自分が挨拶をしたつもりでもお客さんが挨拶と受け取っていないケースもあります。お客さんがそう思っていなければ挨拶をしたとは言えないのです。苦情の多くは技術的なことよりも態度や言葉遣いにあります。技術者が営業をするのには限界があるのに対して、営業能力のある人が技術を身につけると仕事の領域は拡がります。コミュニケーション能力は教えて身につくよりも性格による部分が多いのです。ですから人材採用のポイントは、やる気と性格の明るさの二点です。
知識や技術力はその前提を満たしてからとなります。仕事に情熱を持っていること、他人と明るく接することが出来ることが求められています。単純なようですが大切なことです。何故なら、職場で一人だけ他の職員と話もしないでいると、職場の雰囲気はおかしくなり活気が失われるからです。逆に職場にムードメーカーが一人いるだけで活気が出ます。技術力の差が会社全体の実力とはならないのです。必要な人材を組み合わせることで全体の実力は上がります。
技術力は学校で身につけられるため、しゃべれない技術者は余っています。しゃべらなくて良い技術者とは、ひたすらデータを入力する仕事が代表例です。この分野では人材派遣登録者が多く、供給過剰となり労働力単価が崩れ始めています。
それに対して新進企業が求めている、他人とコミュニケーションを図れる人材は少なく
人材獲得合戦の様相を呈しています。人間社会で求められる能力は、業態が違っても変わらないのです。
企業研修でも重点となっているのは話し方研修です。コミュニケーション研修やコーチング研修と名称を変えても、本質部分は他人と意思の通った話しをすることです。
技術力を高める研修は、企業で技術を要しているため実施できるのですが、企業内でコミュニケーション能力を高める研修を行うことは難しいのです。この能力を高めるには時間がかかる上、自前で講師を用意していませんから社外に研修依頼の必要があります。さらに養成に必要な時間を考えるとコストが見合いません。それよりも、コミュニケーション能力のある人材を採用して技術を教える方が安価で戦力になるのです。
社会で必要な能力はまず人間力。IT社会でも変わらない人間社会の本質です。
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