先日、富士山への植林体験をしてきました。
最初は富士山に植林をする理由が分かりませんでした。環境問題への対応として、植林を伐採した後に植樹するのは分かりますが、富士山は休火山のため五合目以上では木がないのが通常だからです。
自然を富士山で植林をする理由は、風や雨、雪崩で斜面がえぐられ深い傷が残されているからです。地元では富士山が崩壊割するのではないかと心配されている程です。富士山の御殿場斜面は砂礫地のため崩れやすいうえに夏場の砂の温度は60度を越え、また風が強く植物が根付きません。そのため、雪解け水などにより斜面がえぐりとられているのです。
そこに植林をすることに対してふたつの考え方があります。元々木がないのだからそのままにしておくのが自然だという考え方。これだと今の富士山の形を保全することが自然保護に反すると考えることになります。もうひとつが、今ある形を守るために人が手を加える考え方です。今の美しい形を後世の人のために守る考え方に基づきます。
後者の考えに基づき、土砂崩れを防ぐために植樹し富士山を守ろうとする運動を、10年前から民間団体の富士山ナショナルトラストが行っています。
活動当初、何度この斜面に木や植物を植えても育ちませんでした。それは日差しが強いのに砂礫地のため影が無いこと、夏場地面の温度が高いため植物が育つ環境にないからです。そこで火山荒地に強いバッコヤナギを植樹し、根付くとその間に他の植物の種を植えます。今回は五合目まで登り実際に植樹活動しました。砂礫地は歩くと直ぐに崩れるほど脆いものです。
スコップで穴を掘り植樹し水をやります。植樹する木は富士山ナショナルトラストのメンバーが4年間も育成したものです。緑が茂るよう大切に植え込みました。富士山に自分達の植えた木が植生するのは嬉しいものです。300年先を睨んだ植樹活動をしている実感が湧きます。地面を踏みしめて協力し合いながらの植樹活動は忘れられないものになります。
それにしても富士山のえぐられた斜面の惨状は見た人でないと絶対に分かりません。富士山の痛々しい姿です。
自然を守るだけの環境問題から自然を復活させる環境問題への取り組みが富士山で始まっています。
植林活動として、和歌山県本宮町でも企業や労組の森事業が始まっています。地元和歌山県で植林活動の拠点があることは組織のリーダーの先見性を示すものです。自分の組織内のことだけではなく、社会的使命を持った活動を行うこと、それが環境保全にながることになります。
私達の活動レベルを社会が評価してくれますし、何よりも自分の植えた木々が後世に残ることは嬉しいものです。
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