社会の高齢化に伴い福祉設備の充実と介護体制の強化が課題となっています。どこの地方自治体でも3年〜5年の中期計画を立案しています。まちの高齢化の進み具合を予測して、必要な設備とヘルパーやケアマネージャーなどの有資格者の設置を計画し人員を養成する方針です。この対応は適切ですし高齢化に対応出来る体勢を整えておく必要もあります。
福祉にかかわっている方からの「福祉で最も大切なものは何だと思いますか」との問いに対して「福祉に関わる人の質」だと答えました。数年前にホームヘルパー2級を養成するため地方自治体が予算を組み、無料で講座を設けました。無料の講座を受講したら資格を得られるので、応募者が多く抽選で受講者を決定していました。しかもホームヘルパー2級資格は講座終了後に資格試験はなく、必要時間の講義と実習を行うと誰でも有資格者となれます。当然、有資格者は地域限定ではなく全国何処ででも通用するのです。一斉にホームヘルパー達が福祉現場に行き渡りました。
多くの方は福祉に関わりたいと思う気持ちがあり熱心に福祉施設で勤務しています。ただ中には、モノを扱うような態度で介護もどきの介護をしている人たちもいるようです。陳列した野菜を洗うかのように入居者を並べて風呂で洗っている光景や、人が集まっている広間で着替えをさせられている女性入居者が見かけられたりしています。
その光景を目撃した人は、私は絶対に福祉施設のお世話にならない、つれあいが亡くなり1人になって介護の必要が生じた場合は、自分で命を絶つほうがましだ、とも言います。
それは、人として扱われないので人権が無視されていること、プライバシーの空間がないこと(最近の施設には個室が設けられています)、介護に関わる一部ですが仕事の質が問題視されていることから来ています。
受講した人によると、座っているだけで内容を理解していない人はまだましな方で、漢字が読めない人、本読みを指名されても読めない人などが多数にいた模様です。福祉に関わろうとする態度ではないと怒っていますが、その人達が福祉現場にいる事実があります。
一部の人のために福祉に関わる人の質が言われるのです。もっと福祉分野に優秀な人たちが参加して来なければならないのですが、重労働で時間が不規則などの問題から人材が集まりにくい状況です。
そのためにホームヘルパー2級など福祉関係の資格を講習だけで得られるのではなく、試験を課して資格レベルを高めるのも方法です。全てに試験が適しているとは思いませんが、人に関わる仕事は一定の知識と人間性が必要です。それを図る手段として試験は歯止めになります。
資格が社会的に認知されたら人材は流入してきます。福祉は大切な分野ですから、設備に匹敵するようなソフトの質を高めたいものです。