47.カウンセリング
 社会的ひきこもりや不登校が全国的に問題となっています。元教育者の方が、社会的ひきこもりの増加への対応が遅れている現状を憂いて、和歌山市内でカウンセリングルームの設置に向けた準備を行っています。安定した身分を投げ捨て社会のため、人の幸せのための行動を起こしたことは敬服に値します。
 行動を起こした理由は、ひきこもり問題に関して公的機関の整備が遅れていることや、指導者とカウンセリング施設が少なく十分な対応が出来ていないことにあります。教師は学業の指導には優れていますが、不登校問題などに必要となる心理学の知識は異なった分野の知識になるため、教師では対応しきれないのが現状です。公的機関の相談所は有効ですが、相談員が少ないこと、精神科医や臨床心理士との連携をさらに図る必要があることから、迅速な対応が可能な民間での活動を充実させることが、問題解決に適しているとの判断があります。公的機関、民間の相談所、精神科医、臨床心理士と連携を図りながら、社会的ひきこもり問題に対応する体制を整えています。

 臨床心理士は大学院を卒業してから現場で3年の実地経験を踏んだ後、資格試験となります。新しい領域のため有資格者は30歳前後の人が多くなっています。子育て経験など人生経験を積んでいないと、説教となってしまい効果が得られないことがあります。臨床心理士と人生や教育の経験者が役割分担をした上で相談を受けることが求められます。
 
 カウンセリング施設にはベッドを一台だけ設置しての個別対応を基本としています。一対一で向かい合うのがカウンセリングの基本となります。同時に一人で数人を相手にすると、相談者は相手にされていないと不安になり十分な効果が得られません。お金儲けではなく相談者本位で対応を考え、事務所を設計しています。
 カウンセリングでは、心理カウンセラー 一級の資格を活かして心のケアを重点に行い、鍼灸サロでは、東洋医学の技術を活かして体のバランスをとる方策を講じます。心身に関して総合的にバランスをとろうとする新しい試みです。
 
 カウンセリングの指導者に対する研修の機会は少なく、もっと知識を深く掘り下げる機会付与が緊急の課題です。ひきこもりの増加に対して、力を持った指導者が必要ですし、指導者数が絶対的に不足していることから養成が社会的に求められています。
 指導者に求められるのは高いレベルでの指導と、相談者とどのように係わり合いを持つか統一されていることです。誰に相談しても一定の水準が保たれていないと、ひきこもり問題の解決は図れません。指導者増加と育成、高水準を保つための研修機関が必要です。

 カウンセリングのデスクワークと、動物を介在させた療法、作業療法などを取り入れた幅広いカウンセリング体制を整えた和歌山市になれば全国に発信できるものです。

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