人は置かれる環境により人間が変わったように見える時があります。アテネオリンピック470級ヨット代表が内定している吉迫・佐竹ペアがそうです。今まで練習を見ている時はオリンピックを目指している選手という視点でしたが、今日の練習ではオリンピック代表選手という視線で練習を眺めました。人間性や技術は変わっていないのですが、こちらの見方が変わっているのです。練習では、スピード感、ダイナミック感、存在感、自信などが彼女達からあふれ出ていました。オリンピック選手の風格が漂い始めたとでも言うべきでしょうか。
人間とは凄いものです。壁を乗り越え一つの階段を昇ると、今までとは違う人間になります。さなぎから脱皮して蝶になるように全く別の存在になるのです。
適切ではないかも知れませんが、平成15年のドラフト下位で指名され福岡ダイエーに入団した三瀬幸司投手の例を引用します。三瀬投手はNTT西日本中国野球クラブに所属していてドラフトされた時は既に28歳でした。高校では控え投手に回ることもあり、大学でも実績を残せず無名の存在であったうえに、クラブ休部が決定したため、野球を残念するところまで追い込まれます。野球を辞める手前にまでなっていた三瀬投手ですが、何とドラフト指名されプロ入りしました。現在はクローザー(試合の最後を締めくくる役割の投手)を任されています。
彼の周囲の人やアマチュアで対戦した人は「まさか指名されるとは思っていなかった」ようです。わずか数ヶ月前までは無名のアマチュア投手でしたが、今ではプロ野球の一軍選手として活躍しています。そんな三瀬投手の活躍を見て「たいした事はない」とは誰も思わないでしょう。
努力して結果を出し一段高い所にのぼった人は、もう今までの彼ではないのです。それを認められる人と、認めない人では人格が疑われます。仮に、自分達の周囲での評価が低かった人であっても、社会がその存在を認めた人はそれだけで評価されるべきですから、周囲の人もそれを認めなくてはなりません。
何かを達成した人に対しては敬意を持って接することが礼儀です。
目標を宣言した人がそれを達成した時、コーチや関わっている人や組織、練習場所の意義も変わります。周囲はレース本番に向けて組織作りが必要となります。元々評価が高かったコーチは、次回北京オリンピックを目指すチームからコーチ就任の要請も舞い込んでいるようです。和歌浦がセーリング競技の練習場所として世界から注目を集め出しました。
勝って自分の未来を切り拓いた人は、周囲の環境すら変えてしまう力があります。
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