指導熱心な少年サッカーのコーチがいます。常に子どものサッカー上達を考えていることが話の中から伺えます。子どもには、技術向上よりも精神面の鍛錬を重視した指導をしています。目標値は、少し高いところにおく方が伸びるそうです。 達成感を感じることが出来るのは、目標達成が直前の精神状態の時です。あともう少し頑張れば手が届くという状態が、人が最も頑張れる状態です。
ですから指導では、子どもの能力に合わせて目標値を少し高めに設定します。届きそうな状態まで見守り励まし、達成すれば直ぐに次の目標を示唆するのです。個人の能力を勘案して最終の到達地点を予測し、最短で到達するように小刻みに目標設定を行ってあげるのです。目標を早く達成する子どもに共通していることは、技術力よりも精神力が強固なことです。あきらめない、粘り強い性格の子どもは上達が早いそうです。
考えてみると人を育てるのは大変なことです。サッカーの指導者は自分の技術と精神力が高いレベルにないと、子どもの到達地点が分かりませんから、伸びるのに必要な目標設定をすることが出来ません。良い指導者から良い選手が誕生する理由はここにあります。
人を育てることは、自分が向上することに他なりません。人は誰でも、教え導かれる存在から人を育てる存在に変化していきます。自分の師の指導方法を、学べる内にしっかりと学んでおきたいものです。
もうひとつ、子どもには何になりたいか目標を持たせることが大切です。このコーチは毎年決まって「お前の目標は何か」と聞くそうです。子どもは明確な目標を持っている訳ではありませんから、目標はすぐにぼやけてしまいます。目標がぼやけると向上しません。
そこで毎年、子どもに目標を聞くのです。返ってくる答えがその時々に変わっても構いません。目標が何かではなく、目標をもっていることが大切なのです。
私もそうですが、目標は状況に応じて変わります。その時にやり遂げたいことがあれば、目標を変えても何の問題もないのです。繰り返しますが、常に明確な目標を持っていることが大切なのです。
一年に一回、子どもに目標を確認すること、これは実践したいものです。その時、大人である自分も、目標を持っているか確認したいものです。大人には、誰も目標を確認してくれませんから、自分で目標を維持しなければなりません。
目標を持ち続けることは以外と難しいのです。道の途中で壁にぶち当たり挫折する時もあります。好きで選んだ道でも、継続している内に最初の頃の気持ちは途切れがちになります。新しいことを始めるには勇気が必要ですが、継続するのには強い精神力が必要です。
大きな目標を掲げ段階ごとに小さい期限を設けることで、都度達成感を感じることができ、継続する力が出てきます。目標を維持し続けることでゴールは近づいてきます。
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