コラム
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2012/3/1
989    Aランク

ある会社にお勤めのHさんとご一緒しました。「昔のことですが」と言う切り出しで会社に採用された時のことを話してくれたのです。採用後、仕事をしながら1年間、土曜日と日曜日を中心に会社が開講している学校での研修がありました。

同期採用の人が全員対象で同じように1年間学んだのです。そして時々行われる試験の結果を科目毎にAからEで判定されたのです。五段階評価で当然Aが最も優秀な成績だというものです。

「私は遊んでばかりだったので、毎回Dばかりでした」と笑って話してくれました。「しかし毎回Aを取っている同期がいたので、たまには私もAを取りたいと思ったことがあります。ある時、試験前に相当勉強をしたのですが結果はBでした。これだけ勉強をしてもAは取れないと思って、また遊び始めました」と再び笑って話してくれました。

そしてAランクの成績を取っていたのは東京大学卒業の同期だったことから、これは敵わないと思ったのです。ある時、土曜日の夜に組み合わせによって、偶々同じ部屋で宿泊することになりました。Hさんは授業を終えた後、同期との飲み会で外に出掛けました。東大卒の同期も一緒だったので、「同じように授業を受けて飲み会に行っているのに、やはり頭の構造が違う」と思ったのです。そして二人は就寝しました。

翌朝、Hさんが起きると、東大卒の同期は既に起きて朝食までの時間を利用して勉強をしていました。驚いたHさんは「試験前だから勉強しているのですか」と尋ねたのです。

返ってきた答えは「試験に関係なく毎日、勉強していますよ。理解を深めるためには毎日勉強をする必要があります」ということでした。

社会はいつまでも肩書きで通用するほど甘くありません。社会人になっても毎日、勉強時間を確保していたのです。勉強を続けたことで毎回の試験の成績はずっとAで通したのです。HさんはBが最高で平均はD、結局Aには届かなかったです。会社生活は自分のやりたいことが出来たので、その当時のことに全く悔いはないと言います。東大卒の同期は出世していきましたが、それも当然のことだと思えました。「彼はあれからも毎日、勉強を続けていたのだろう」と知っているからです。何かを目指して毎日勉強を続ける人が目標を達成していくことは当然のことです。やりたい人はそれをすれば良いのですし、やらない人がその人を妬むことはありません。

Hさんは言います。「一夜漬けは頭に入らないですし、記憶としても知識としても定着しません。身に付いていないからです」。毎日、続けることが記憶を良くし、活用できる知識になるのです。

結局Aランクの仕事をしている人は、毎日、勉強を継続している人なのです。毎日続けられない人は、時々どれだけ頑張ったとしてもBランクまでです。それは生き方の違いですからAランクが良いとは思いませんが、長い人生の中で一度は本気でAランクを狙いに行きたいものです。常にBランクの人生だったと振り返るのは寂しいことだからです。その分野でAランクを取るまで毎日続けること。それが生き甲斐なのです。