コラム
コラム
2012/2/29
988    スピード感

「私の会社が目指しているものは、スピードか規模でナンバーワンになることです」。強烈な言葉が飛び出しました。世界でビジネスを展開している企業の強さの秘密が感じられます。仕事はスピード感溢れるものでなければ意味がないといいます。意思決定のスピードは速く、意思決定してから事業に着手するまでに与えられた期間は三ヶ月です。その間に少しでも何かを始めておかなければ、それを事業化することは出来ないしくみです。

やると決めたら早く実行すること。やると決めたのに実行しないようでは、意思決定したことが無駄になるのです。経営資源としての資金を寝かしておくことが無駄になります。

「私の会社ではスピード感が命です」と言い切るように、意思決定と事業化への着手の速度に驚きます。

そしてもしもスピードが思っているほど出ない事業があるとします。その場合は規模でナンバーワンを目指すことになります。工場だったら大規模工場、或いは生産量で一番を誇るなどの特長が必要なのです。スピードを追求できないのであれば規模で日本一を目指すと話してくれます。世界を相手にビジネスを展開して勝ち抜いているのは、その国の事業化を目指しているその分野で一番になるモデルを計画しているからです。

目立たない企画、注目されない企画は事業化するのに値しないと考えているのです。

スピード感溢れるビジネスの敵になるのは、必要以上の規制と窓口がワンストップでないことです。時代遅れの規制を額面通り適用させようとすることや、前例がないことによって判断を先送りして事業のスピードを抑えるような姿勢は世界で通用しないのです。

この企業のスローガンはスピードアップです。事業化や開発速度のスピードを加速させることで同業他社に勝ることになります。そしてスピードで一番になれないと判断した場合は規模、つまりスケールでその国の一番を目指すのが方針です。

世界の市場ではスピード感が何よりも重要となっていますが、日本ではスピード感があるとブレーキを掛けようとする傾向にあります。文化の違いと言えばそれまでですが、世界の市場は一つになろうとしています。最初に新しい分野の事業化を図り、或いは新製品を送り出す方がその市場では優位に立てるのです。

それでも「10年後には、いま売っている製品はないものと考え工夫せよ」とサムスンの李会長は話しているように、いま市場にないものを送り出すことが世界における価値なのです。

ここに機会がある場合、スピード感を持って対応すべきです。スピード感がない仕事からは結果が生まれません。サムスンの方から聞いた言葉です。「私達はスピードアップが大事だと考えています。恐らく日本人が思っている以上にスピード感を大事に考えているのです」。これが家電製品の分野でサムスンが日本の家電メーカーに大差をつけている要因の一つなのです。

二番目と一番目は全く違うもので、ナンバーワンだけが市場を握るのです。自分の一番、和歌山県の一番は何なのか。スピードか規模で一番を目指したいものです。