コラム
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2012/2/14
977    感謝の心

新年のある一日。大変お忙しい社長と約1時間30分懇談しました。新工場進出の案件の協議をしたのです。11時から12時30分までの時間みっちりと話し合いができ、今後の進め方について、そして次回の検討課題を確認した話し合いを終えました。

そして帰り際に社長から「大変お忙しい中、私達のために時間を割いていただいて本当にありがとうございました」とお礼の言葉をいただき、深々と頭を下げて下さいました。

慎重に取り扱いをすべき案件を相談してくれて感謝するのはこちらの方なのに、丁寧な言葉と姿にしばし感動しました。新工場建設に際しての金融機関との交渉、取引先からの期待、そして事業を拡大するためには借金が必要で、借入れを決断した時の覚悟などを聞かせてもらい、伸び行く会社の社長業の凄さを感じました。将来的にも従業員を守り、後に経営してくれる世代のために自分の代で借入れを行い、次の社長の負担を軽減しておくことなどを先の姿を念頭において事業計画を考えています。

平成23年度の収益の見込みは東日本大震災の影響で厳しい数字が予想されていますが、サプライチェーンを切らさないためにも生産を増強するための新しい製造ラインが必要と考え、この時期に投資することを決めています。今の事業規模でも十分に10名近い従業員さんの雇用と維持ができるのに、将来に向けて更に拡大を目指しています。

守りは大切ですが、市場が縮小傾向にある中、攻勢にでる覚悟がなければ後退に向かいます。そして来るべき時期に備えて、生産ラインを確保しようとする経営判断は難しく勇気が必要だったと考えます。

自分だけのことを考えると決断しないことでも、社長として従業員さんの将来と生活を守ること、企業責任として社会への貢献を果たすこと、そして製造業への誇りを持っていることなどからの決断です。

同じように、和歌山市内の自治会ナルダンの会長との懇談を終える際にも挨拶を頂戴しました。「貴重な時間を私のために取っていただき、ありがとうございました」という言葉です。同じように頭を深々と下げて挨拶をしてくれました。素晴らしい自治会の取り組みを聞かせてもらったのは私の方なのに、逆にお礼を述べてくれました。

この自治会では規則で自治会長の任期は一期二年と定めています。限られた期間だから実績を残そうと頑張れるからです。自治会長は2年間、町内の通学路に立って交通安全を見守っています。信号のある停止線付近に経って自動車の運転手に頭を下げて挨拶を続けていると、次第に通勤途上の運転手も挨拶をしてくれるようになりました。知らない人に対しても、安全のための行動と挨拶を続けていると、その内に挨拶をしてくれるようになるのです。この団地内にある通過路の法廷速度は時速30kmです。自治会長が立って挨拶をしている主旨を運転手は気付いてくれて、今では30kmの速度で走ってくれるようになりました。

二人の事例を取り上げましたが、素晴らしい人物はいつも謙虚で、感謝の気持ちを有しています。感謝の心を持っている人の前を去る時は、とても気持ちが良くなります。