コラム
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2011/12/20
946    落ち葉

平成23年12月、暖冬の影響なのか、紅葉が遅くなっています。ようやく街路樹の銀杏の葉も黄金色に色づき、そして落葉し始めました。歩道は黄金色に染まり、光景としては和ませてくれますが、時間の経過と共に汚れますし家やお店の玄関先の落ち葉は清掃する必要が生じます。最近は家の前の落ち葉の清掃に関して市役所に苦情の電話が入ることもあるようですが、せめて自宅前の落ち葉は自分で清掃したいものです。人が動くと、仕事になるとコストが掛かります。小さなコストアップは、回り回って市民全体で負担しなければならなくなりますから心掛けたいものです。

さてそんなある日、市内の中華料理店のご主人さんが早朝から落ち葉の清掃をしていました。一緒にお店の前の清掃をしていた人に話を聞くと「このお店のご主人さんは毎日1時間も清掃しているのですよ。私は今日通りかかったので少しの時間ですがお手伝いしています」と答えてくれました。

毎日1時間も清掃をしてくれているのです。しかお店の前だけではなくて隣の場所も、前の歩道も清掃してきれいにしてくれています。

ご主人さんに聞いたところ「早い時間から従業員に清掃をしてもらうのは気の毒なので私が掃いています。清掃時間は大体1時間くらいですかねぇ」と話してくれました。

毎日早朝から1時間も清掃をしてからお店を開けているのです。しかも従業員さんに負担をかけないように自身で落ち葉の清掃をしているのです。誰にも言わないでまちの美化に務めてくれています。

従業員さんはお店の前がいつもきれいなことに気付かないで出勤していると思いますが、気持ち良く出社できて直ぐに仕事に取り掛かれる環境をご主人さんが作ってくれているのです。社会では誰かが誰かを支えているのですが、ご主人さんが従業員さんの仕事環境も、地域の美化も、そしてお客さんも幸せも支えているのです。

このお店はおいしいことで有名で、昼も夜も土曜日も流行っています。流行っている秘密は味だけではなくてご主人さんの心掛けが伝わっているからのような気がしました。お店をきれいにするのは当たり前ですが、公共の場所まで清掃をすることは分かっていても中々できるものではありません。清掃はお店や道路をきれいにするのと同時に、自身の内心もきれいにしていること、そして周囲の空気もきれいにしているようです。その心のきれいさで満たされている店内には、幸せな空気が詰まっているのです。お客さんにはそのことが分かっているのです。

休みの日の朝、早くまちに出ると違った光景に出合えます。土曜日の朝、仕事に取り掛かる前に幸せな光景に出合いました。朝の始まりに幸せに出合えると、その日全体が幸せで満たされます。この日は夜の懇親会に至るまで、素敵なことばかりに出合えた一日となりました。

そして小さなことに気付くことが幸せの第一歩です。何気ない行為や出来事、会話の中に潜んでいる幸せの気配を感じ取ることが、自分の心を幸せにしてくれます。