コラム
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2011/12/15
943    上品さ

ある団体の懇親会に出席しました。ミヤコ蝶々師匠のところで修行をした芸人さんが司会をしていました。しゃべりは芸人のそれでしたが、お客さんをこけ降ろすことや下品なところがなく聞きやすい話し方でした。

舞台で芸人としての心得について話をしてくれました。「私はミヤコ蝶々さんのところで修行をしました。そこで言われたことは、芸人は上品でなければいけないことです。売れたら何でも良いのではないのです。下品を売り物にしている芸人もいますが、それはやったら駄目です。下ネタを話しても良いのですが、下ネタであっても蝶々さんからは、上品に下ネタをしなさいと教えられました」という話です。

お客さんを笑わせたら何をしても良い考えではなくて、お客さんと一緒に会場を作り上げていく感じがしました。同期にはダウンタウンやトミーズなどがいるようですが、本人が言うには「大きく差を開けられてしまった」ようです。しかし自分なりの芸風を確立しているので、売れるか売れないは関係ないのです。師匠から指導された価値に基づいて芸能生活を生きているのですから納得している筈です。

芸人でなくてもある程度のところにいると上品さは不可欠です。上品さとは人としての品格、パーティでの礼儀でもあります。人は場所や集まっている人によってその雰囲気に対応する必要があります。ただ決して忘れてはならないことは上品さを保つことです。

懇親会の席で飲みすぎて酔っ払ってしまうことや、食べきれないほどの食事をテーブルに持ってくること、他人が見て嫌な気分になるような程、羽目を外すことは避けたい行為です。

上品さを身につける早い方法は、一流のサービスを提供してくれるホテルでの懇親会などに行くとそれを学べることです。スタッフは会場の出入りの際にはさり気なくドアを開けてくれますし、目立たないように会場を見渡して、不足しているものや要求をしたいと思っているものを提供してくれます。飲み物は数種類持って会場内を回ってくれていますし、ビールがなくなってくるタイミングでテーブルにそっと置いて行ってくれます。

つまりお客さんに気づかれる前にサービスを提供してくれることが一流のサービスなのです。気づかれる前に提供しているということは、お客さんが最後まで気づかないこともあります。何の要求もしなかったけれど満足した懇親会だったと思う場合は、一流のサービスを受けられたのです。

上品さも同じことだと思います。特に派手なこともなかったけれども、あの人と会った後は気持ち良さが残っていると思った場合、その人は上品さを秘めているのです。ガツガツしているのではなくて、控えめで爽やかな雰囲気、そして笑顔を持っている人がいます。

サービスとは約束に応える力だと聞いたことがあります。高い費用を支払って提供されるサービスはどんな状況においても最大限のサポートをしてくれます。約束力が強いからです。そして上品さとは人との信頼関係に応える力だと言えます。上品さは人として信頼できる力です。接していて気持ちの良い人は上品さの力を持っています。