コラム
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2011/12/16
944    フラッシュダンス

2011年12月、何気なく新聞記事を読んでいると、懐かしい映画の記事が掲載されていました。タイトルはフラッシュダンスです。思い出の青春映画の一つとしての紹介記事です。上映は1983年、2011年から遡ること28年前です。当時の私は22歳ですから、振り返ると随分昔の映画です。しかし不思議なもので新聞記事を読んだ次の日、何気なくチャンネルを回すとフラッシュダンスが放映されているから驚きました。詳細は忘れていたのですが、観ていると印象的なオーディションまで流れるように場面が過ぎ去りました。

青春映画という言葉がピッタリの映画ですが、記事を読んだ翌日に観ることになったことは驚きです。

この年代になって観るとストーリーは特に珍しいものではありませんし、台詞や映像もオーソドックスなものですが、若さは可能性があるものであり、不安はあるけれど自分の内心に挑戦する勇気を持つことが人生であることを伝えてくれる素敵な物語でした。

若さは無限の可能性を秘めていること。しかし二度と戻ることの出来ない年代であることも分かります。人がもし20歳前半に戻れるとしたら、きっと挑戦する人生を選択すると思います。やがて挑戦することを躊躇する年代に、挑戦することを忘れてしまう年代に到達しているのです。そんな時、若さと挑戦することの価値を思い出させてくれる物語に出会えることは感動です。恐れることがあっても、諦めることができない気持ちを奮い立たせてくれます。

印象的な場面は、オーディションの前日、主人公が教会に行き、そこで自分の弱さを曝け出します。そして涙を流しながら「あきらめることはできない」と自分に言い聞かせるのです。相談相手の神父さんの答えがないままに、オーディションを待つ廊下の場面に画面は切り替わります。

その前段、ダンスの恩師を訪ねたところ、昨日亡くなっていたことを知るのです。命には限りがある。その事実に直面して主人公は逃げないで名門ダンススクールのオーディションを受けることを決意するのです。これらの後半は、当時気づかなかった人生の意味を感じさせてくれます。人生は限りがあること。決断するのは常に自分であること。やれる時にやっておかないと後悔すること。そして夢を適えられることに費やす時間は思っている以上に少ないこと。鑑賞しながらこんなことを考えました。人生を生きてきた今だから分かることです。

そこからが名場面です。ブレイクダンスを世に知らしめたシーンが躍動します。観ていて楽しい。それが名場面です。この映画の評論は褒め称えるものが少ないのですが、挑戦する気持ちを取り戻させてくれるだけでも名作だと思います。

それにしても人生は不思議です。必要な時期に必要な情報や出会いがあります。そしてこれからを歩いていけるだけのものを与えてくれます。なんて素晴らしい気持ちとも言えるような日が、今日であることに感謝したくなります。

生きていることが素晴らしいことだと思える気持ちを味わっている今日を大切に。