コラム
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2011/12/8
938    働くこと

1988年に一緒にUSAスタディツアーに行ったのがHさん。2011年前半まではK電力会社の所長を務め、現在は監査役室で勤務しています。とても懐かしく嬉しい連絡がありました。Hさんからは「年月の経過は早くて、いつ本体を去るのかなという年になっています。あの頃の写真を見ては懐かしく思います」という連絡です。本体を去るという意味は、会社からの出向ということです。定年は60歳ですが、現在の民間企業では60歳になる前に出向することが通常です。ですから50歳代の半ばに差し掛かると関係会社への出向が待ち受けています。1988年当時、Hさんは30歳だったと思います。スタディツアーの団長を務めてくれて、私達を引っ張ってくれました。

そんなHさんが所長を務めていた期間に所属する約450名の従業員さんに毎週届けていたメッセージがあります。年に数回、多くても毎月メッセージを発信している役職はいますが、毎週発信している人は少ないと思います。

そんなメッセージを読ませてもらったところ、多くの人に共通するエールのようなものでした。その中からいくつかを要約して紹介したいので、皆さんと共有できたら幸いです。

「何のために働くのか。食べるため、遊ぶためであっても正解です。しかし仕事の意味はそれだけではないのです。振り返ると判ることです。仕事をしていたから沢山の知識を得ていますし、新しい仕事のたびに新しい知識や技能を身に付けられたのです。

仕事の報酬は仕事であり、知識であり、技能であり、成長なのです。仕事には嫌な場面もありますし、厳しい局面もあります。しかしそれも成長への道筋です。全ての仕事は成長の糧なのです。仕事を楽しみながら、何も恐れずに成長の道を歩みましょう。

こんな話があります。陸上競技の高飛びで、「バーなしで高く飛びなさい」と言われても高く飛べないのです。バーがなければ良い記録を出すことはできません。バーがあるから飛びやすい、力を発揮できるのです。人間には目標が必要です。目標なしで成長することは容易ではないのです。

もう一度、それぞれの仕事の意味を考えて下さい。そして自分の目標をしっかりと見て下さい。何気ないことですが、きっと勇気と熱い思いがでる筈です」。

その通りで、仕事の報酬は高いレベルの仕事という報酬を連れてきます。より高いレベルの仕事を求めるのであれば、今の仕事を誰よりもプロ仕様の仕事に変化させることです。

また仕事は周囲を楽にすることであると伝えてくれています。

「働くとは、はた(周囲)を楽にすることです。働くことは必ず誰かの役に立っているのです。逆に言えば誰かが自分のために働いてくれているのです」。

必ず自分の存在が誰かの役に立っている、自分の仕事が社会の誰かの役に立っているのです。社会で不必要な人はいませんし、不必要な仕事は存在していません。社会は不必要な仕事を存在させておくほど甘くはないのです。

そう思うと自分の存在と仕事を誇りに思いますし、誇りに思ったら誰かのために働くことを考えてみることです。