橋下徹大阪市長が誕生しました。先日ある会合で「大阪市の人10人に誰がリーダーとして相応しいかと聞いたところ、8人が橋下さんと答えました。政党が相手候補を支援していることが分かっているのにこの回答でした。人物でリーダーを選ぶ時代になっていることが分かります」と話した人がいました。政党を選ぶのではなくて人物で選ぶのは、自分たちの地域を誰に託すべきかを一番に考え始めたようです。
ところが選挙結果を受けた後でも橋下市長に関して、「パフォーマンスや風に乗っているだけ」、「数年もすればブームは去ってしまう」などの意見を言う人がいます。そのため直ぐにブームが去るので、対立しても戦っても大丈夫だと思っている人もいるようです。
しかし橋下市長は単なるタレントでもブームに乗っているだけの人でもありません。その躍動感、民意を得る行動力などからすると、むしろ平成の坂本龍馬であると思った方が良いと思います。大阪府知事として既成政党を破った大阪市長として既に歴史に名前を残している人ですから、束になって掛かっていっても適いません。
恐らく維新に向かって走っている坂本龍馬と向かい合おうとした場合、まともに戦いを挑む人はいないと思います。大きな相手とは、話し合いの機会を持ち、その中から接点を見つけ出そうとする筈です。坂本龍馬は歴史上で評価されている偉人ですから、正当な話であれば相手の言い分を聞かない筈はありません。相手の言い分を聞いて、その考えを自分の懐に入れることができる人だと思います。そして自分の中の考えを大きく膨らませていくのです。敵対するよりも理解しあうことが歴史を動かしますし、現代社会を動かす秘訣でもあります。
孫子の兵法でもありますが、戦わずして勝つことが最良の策で、戦って勝つことは次善の策なのです。ですから戦いを挑むよりもお互いの接点を見出して、どちらも利を得られることが最良の方策です。戦争であれば負けたら国は滅びますし、明治維新の場合は江戸幕府が消えました。平成の時代、民意を表すのは選挙ですから、負けても滅亡する訳ではありませんし、引き続き権力に対して意見を言うことができます。
しかし敵対するよりも意見を言える関係を築き友好関係を結ぶことが最良です。争って議論に敗れたら得るものはゼロです。ゼロ回答であれば次に向けて何も進展しません。100か0かの議論ではなくて半分の50を取ることを目指す方が良いのです。思いの半分を理解してくれたら次の展開があるからです。
歴史に名を残す人を相手にしていると考えたら接し方は違ってきます。歴史の流れに乗っている人が、これからの歴史の流れの主流になるのです。歴史の大きな流れに反発するより一緒に歴史を動かすことに力を注ぐ方が結果を残せます。
歴史から学べることがあります。後に歴史を築くリーダーに向かっていった大軍は常に脇役に過ぎず、その戦いの後に名を残すことはしていません。いま歴史の中にいると感じる場合、歴史の主役と戦うよりも戦わずして思いを遂げることが良策であることを意識しておきたいものです。