コラム
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2011/11/29
931    表彰状

障がい者を雇用しているTさんの会社。多くの障がい者の方がここで働いています。平成になって県知事表彰を受けています。表彰状を見せてもらいながら感じたことがあります。表彰状の日付は平成○○年△月◇日ですが、その日は表彰された日であって、本当に価値のあるのは表彰されるまでの長い日々の中にあります。障害者施設を立ち上げて雇用を図ってから、困難の連続だったようです。それらの苦難を乗り越えて、やっと経営が安定し出してきたのです。雇用を守るためには経営が安定していることが条件です。心ある会社が支援をしてくれて、パッケージなどの仕事をいただけているのです。

経営者は仕事を確保してくるので、従業員さんに作業場で仕事をしてもらい賃金を確保しています。簡単に獲得できている仕事ではないのです。仕事を出してくれた会社に対して品質を保ちながら納品します。それを何年も繰り返して信頼を得ていったのです。信頼があれば継続して仕事の依頼があります。それが障がい者雇用を継続できた要因であり、仕事がないからと言って簡単に雇用契約を破棄することはなかったのです。

その功績が認められて知事表彰につながったのです。表彰式はたった一日数分の出来事ですが、それまでの過程に価値があるのです。

昨日今日、障がい者を雇用するために設立した会社が知事から表彰されることはありません。何事も表彰されるまでには何十年もの実績が必要なのです。

そんな知事表彰に対して、「誰でも続けたらもらえる」、「福祉分野に限定された表彰でしょう。使い道はないし価値はないですね」と平気で言う人がいます。この経営者は傷つきました。表彰を受けて批判される必要は全くないのです。誰でもできないことを継続してやっていることが表彰対象になるのです。表彰を受けるとはそれに要した時間の和に価値があるのです。一日・二日の実績や一年間だけの実績だけで、知事から表彰されることはありません。優れた実績と継続の両立を図れた福祉施設や団体がこの知事表彰を受けられるのです。

ですから表彰状そのものに価値があるのではなくて、長年同じことを続けてきた実績と信頼に価値があるのです。表彰状は一日だけの実績でもらえるものではないのです。10年続けることが条件だったら、40歳で始めて50歳になった人が表彰を受けられるのです。人の10年は取り戻せる期間ではありません。その10年間は、そのことに人生を賭けて取り組んでいたのです。平成23年の今から始める人が、この知事表彰を受けられるのは早くて平成33年になります。平成33年とはどんな時代なのか想像できません。そう思うと10年も同じことを続けることは大変価値のあることなのです。

平成13年に始めたことが平成23年になって認められているのです。今始めた人や、何も始めていない人が、この功績にケチをつけることは許されないことです。

表彰状そのものに価値があるのではありません。表彰を受けるに至る時間に価値があるのです。この場合、10年も継続して障がい者雇用に取り組んでいることに価値があるのです。10年も続けることは人生を賭したものであることも知っておきたいことです。