コラム
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2011/11/30
932    知識の量

「キーパーソンに会うその前に、3分間の人物予習」。そんな広告が某新聞の朝刊に掲載されていました。人と会う時は、その人がどんな人なのかを知ってから会うことが大切です。初対面の人を訪ねる時、何も知らないで会うと、好みや功績が分からないので会話になりません。それでは貴重な時間を割いて会ってもらっている人に対して失礼です。

最低限の情報を把握して人に会いたいものです。今は過去と違って、人物予習はそれほど難しいことではなくなっています。少し前までは人物像を調べることは簡単ではありませんでした。しかし今ではインターネットによって経歴や人物像まで知ることができますから、その気があれば人物予想をしてから会うことができます。

和歌山市で大企業といえば住友金属が挙げられます。元従業員の方で、密かに尊敬している人がいます。その人が現役時代は情報が取れないので、初めて会う人の人物予測はできませんでした。事前に調査できていない人にはまず出会って、会話の中から人物像を予測していました。会話で出てきた話題はチェックしておきます。そして後日、その分野に関する書物を読むのです。その業界に関する本やその人の生まれ育った故郷の本は勿論のこと、興味を示していた話題に関する本も読みます。日露戦争に関心があると分かれば、歴史書や司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読むのです。

その冊数は調査すべき項目毎に約20冊を読んだそうです。つまりひとつのテーマに対して関連する20冊の書物を読んでおくのです。そして次回会う時には、その本人以上の知識を得て完璧に会話が成り立つのです。例えば日露戦争の話になった時は、その時代背景や秋山兄弟のことなど知識としてありますから会話が弾むのです。

そうして信頼関係を築き、勉強熱心な人だと評価され、人と人のつきあいが始まるのです。そこから会社同士のつきあいに発展していき、ビジネスの機会が訪れるのです。時間を要しますが、会社を離れても長くつきあえる関係になります。

簡単そうですが中々できることではありません。関心のある書物を短期間に20冊読破することでも時間がかかります。ですからもし興味のない分野の書物を20冊読むとしたら、忍耐力と理解力が必要となるのです。その勉強した中に原子力技術や道路の問題などもあったようです。その知識は今も生きていて通用しています。理論が発展している特殊な分野を除いて、基礎的な知識や原則は変わるものではないからです。

元々九州出身ですから、就職して時に初めて和歌山県に来ています。しかし生まれ故郷ではない和歌山県の歴史や偉人のことも、生粋の和歌山県民よりも良く知っています。陸奥宗光、野村吉三郎を初めとする和歌山県の偉人の功績も知識として保有しています。それが知識人と会話する時に今も役立っているのです。他人が身に付けていない知識を有していることは自分の武器になります。

「今までの人生で得た知識で生き長らえているようなものです」と謙遜していますが、今も新しい知識を習得するために、若い人よりも勉強を続けていること知っています。どんな知識を得ても、それは生きていく上での武器になります。