コラム
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2011/11/2
915    進学校

ある市の公立高校の先生の話です。A高校からB高校に転勤になりました。B高校は県内有数の進学校です。学校に行って両校のレベルの差に驚いたこと、そして生徒のために一所懸命になっています。

まず周囲の先生のやる気が充実していることで刺激が発生しています。高校の場合、先生が出張や研究会などに出席するために担当している授業を自習にする場合があります。A高校では自習が当たり前だったのですが、B高校では他の先生が変わりに授業を受け持ってくれるのです。ですから自習はなく授業は進みます。そのことからこの先生も、他の先生が不在の場合、代わりに授業を受け持つようになりました。誰にも言われなくても周囲の環境が先生の行動を変えたのです。

そして初めての体験がありました。B高校で90分授業を終えた後、生徒から「ありがとうございました」の挨拶があったのです。それまで授業を終えてお礼を言われることはありませんでした。B高校では授業のお礼の言葉が自然に出ているのです。勉強ができる環境にあることに感謝していること。そして教えてもらっている先生への感謝の気持ちが「ありがとう」の言葉になって出てくるのです。

聞いているのか、聞いていないのか分からない中で授業をしているのと、90分間も集中して聞いてくれているのとでは、先生のやる気が変わってきます。先生は授業で大切な何かを伝えようとします。そのためには教え方や分かり易い話し方の予習を行い、授業に立つことになります。心の姿勢が行動を変えててるのです。

まだあります。公立高校は土曜日、授業は休みですが、出勤している先生が沢山います。出勤して授業の予習をしていたり、意見交換をしながらお互いに研鑽を積んでいるのです。生徒も自主的に教室に出てきていることもあります。質問をするために職員室を訪れたりもしています。

A高校ではなかったことです。自分が出張の時は自習、休日は確実に休んでいたこと、先生同士の研鑽もなかったこと、授業の終了を心待ちにしていた生徒、やる気を起こさせるものはありません。

それに対してB高校では、自習はなし、土曜日も学校に出ていること、先生同士が研鑽を積んでいる、そして授業を終えた後は「ありがとう」の言葉があること、やる気を起こさせる要素が満ちています。A高校もどちらかというと進学校です。それでもB高校と比較するとかなりの差が感じられるようです。先生の姿勢が違うこと。生徒のやる気が違うこと。進学校が何故進学校であり得るのかが分かったといいます。

そして先生の授業での姿勢は生徒の指導に関係すると聞かせてくれました。指導する気持ち、やる気が欠ける先生の評価は落として教育現場から離さないと生徒に影響があります。生徒はわずか3年間で結果を残さなければなりませんし、高校3年間のやり直しは効かないのです。生徒のやる気は大事ですが、それを引き出すのは先生のやる気と熱意です。

まず指導者がリードすることで生徒の心に灯がともるのです。