コラム
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2011/10/3
897    あの人

仕事は質を高めるか、そうでなければ量を確保するかのどちらかを実践しなければ発展はありませんし、ライバルに追いつくことはできません。しかし仕事の質を高めるのは難しいのです。仕事の質を高めることは能力か経験が必要だからです。経験を重ねると質は高まりますが、良い経験をしなければなりません。自分を鍛えてくれる厳しい上司や先輩がいること、困難の仕事に挑戦する機会を与えてもらうことなど、置かれた環境によって経験の質が異なるのです。

ですから、まずは偶然性にも左右される仕事の質を高めることよりも量を確保することから始めたいものです。量を確保することは自分がそうすると決めたらできることなのです。量の確保とは仕事時間のことです。人よりも早く出勤して遅く帰ることを続けると量は確保できます。例えば、午前7時に出勤して午後12時に仕事を終えるとしたら、17時間も仕事の量を確保できます。これだけの時間が確保できたら、一般的に仕事量は多い部類に入ると思います。

*但し、この例は休憩時間や労働協定があることを除外して考えています。

量を確保できることで質に対抗できるのです。ライバルよりも仕事ができないと感じたら仕事時間を増やすことです。質が低い、しかも仕事時間が短いのでは勝ち残るには話になりません。しかし同じ仕事環境の中にいると、仕事量を増やすことは簡単ではありません。自分のいる位置が分かっているので、そこから脱出することができないからです。

金銭的損得を抜きにして仕事量を確保することを自分に課すこと。それがいまの位置から抜け出す方法です。ただ単に長い時間、机に座っていてパソコンを睨んでいても仕事量が増えたとは言えません。自分で負荷をかけること、つまりお客さんと接する機会を増やすこと、違う業界、つまり異文化の体験をすること、レベルの高い人の会合に参加することなど、居心地の良い環境から少し抜け出す挑戦をする時間を確保すること、そんな量を増やすことが真の仕事量を確保することです。

量を増やすこと、そして自分で質を高められるようになることを止めてはいけません。和歌山市で一番になっても和歌山県があります。次に関西があります。その次に全国があります。自分よりも高いレベルにいる人や会社は無数に存在しているのです。多くの場合、そこを目指すことが仕事ですから、量を確保して質を高める。質が高められたら、質の高い量を確保することの繰り返しです。そうすれば仕事量も質も高められています。

最初は誰よりも早く出勤して誰よりも遅く帰ることから始めます。それを継続していればその場所で欠かせない人になれます。

高校野球では、あの監督がいるからその高校を目指すことがあります。あの監督になることが大事なのです。事実、あの監督がいなくなると、突然、甲子園が遠くなる高校があります。そしてあの監督が移った高校が、数年のうちに強豪校となり、甲子園に出場することが多々あります。量と質を確保して、やがてあの人と呼ばれる存在を目指したいものです。