コラム
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2011/8/23
876    夏の終わり

平成23年8月20日、夏の甲子園大会決勝戦が行われました。観戦していなかったのですが、結果は西東京代表の日大三高が青森県代表の光星学院高校を破り優勝を果たしています。夏の大会を制した日大三高に、特別な大会での感動をありがとうと祝福です。

いつも思うことですが、夏の甲子園大会の決勝戦が終わると、季節は夏から秋へと変わります。決勝戦の朝は夏、そして決勝戦終了後は秋の気配を感じます。遡ると夏の大会の開会式は夏の始まりを感じますから、わずか約二週間の大会で季節の移ろいを感じることができます。

開会式の時はまだ頼りなく感じられた球児達が、勝ち進むに連れて大人の装いに変化していきます。そして決勝戦は、すっかり逞しい大人の姿になった球児達の、全国にいる同世代の仲間の集大成なのです。敗れた球児達も、この日を境に大人になるような気がします。それは二度と戻れない季節の存在を知るからです。三年生の皆さんは、明日から甲子園を目指した公式戦に出場することはなくなります。暑かった季節に戻ることができないことを体感し、秋の到来を感じることになります。

あれほど暑かった夏が愛しく感じ、来るべき秋に寂しさを感じます。人は同じ季節を再び生きられないように、球児の戦いと共に、たった一度の夏が過ぎ去りました。

今年の暑い季節は戻らない。大人にとっても同じです。暑い夏の後には、企業では上期決算があり、不足した分を下期に求めることになります。思いっきり活動できた夏から、活動の成果を確認する収穫の秋に入ります。生命が成長する夏にサボっていたら秋の収穫は適いません。

勉強も同じです。夏の成果が二学期に反映されることになります。夏の成果が秋の成績に直結するのです。勉強に要した時間の長さは嘘をつきません。やった生徒は成績が伸び、やらなかった生徒の成績は沈みます。これが社会の厳しさであり正当性なのです。やらない人が成果を挙げられることはありません。やった人だけが成果を挙げられる権利が得られるのです。

平成24年の夏に今年の高校三年生は誰一人として甲子園にいません。平成23年夏に59歳だった会社員は、一般的には来年の夏に正社員として存在していません。節目を意識する人にとって、巡り来る夏は一度だけのものであることを知っています。人生の中の熱くて長い夏がその後の人生に影響を与えます。長い夏と言っても夏休みと同じで一瞬のことです。始まる前は40日間にも及ぶ夏休みは長く感じますが、甲子園が終わる時になると、夏は短かったと感じることになります。

私達生命体が成長する夏に頑張れなかった人は、秋や冬に夏と同じように成長することはできません。どこまでも突き抜けるような青い夏が過ぎると、燃えるような深い赤の秋が訪れます。たった一度の夏を意識して過ごした人は、夏を惜しみ秋の新たな挑戦を意識します。夏が終わった後は燃える秋がやってくる。そんなことを意識させてくれる甲子園決勝戦です。夏の終わりを感じ、再び戻らない毎日を後悔しないようにしたいものです。