コラム
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2011/1/5
854  ウインズ

和歌山県を拠点としてライブ活動をしているグループのウインズ。ウインズの歌には和歌山県への愛が溢れています。これほど和歌山県を歌い上げているシンガーは他にいません。全国の府県と比較して、遅れていると言われている和歌山県を、誇りに思わせてくれる歌ばかりでした。

ウインズの二人は現在53歳です。高校生の時に出会ってバンドを結成し、それ以降ずっと和歌山県を拠点として活動を続けてきました。二人の目標は、湘南の海を歌っているサザンオールスターズだったのです。湘南を歌うサザンに対して、和歌山を歌うウインズを目指して歌い続けてきました。そして現在、デビュー以来30年以上が経過しています。「実力が不足していたのでサザンにはなれませんでした」という言葉がありました。

53歳という年齢は夢を追いかけ続けるには厳しい年齢であることを実感しました。ここから先は、同じように努力続けてきた人を同じ土俵で先に行くことは現実的には困難です。そんな現実を知る年齢なのです。夢を追い続けることの素晴らしさと、そして夢は適わなかったけれども、夢を追い掛け続けられたことの充実感を感じました。そして、これから残された時間の範囲においては、どうしてもサザンに追いつけない厳しい現実も知りましたし、これからは夢を追い続ける自分よりも、夢を追い掛けようとする若い人の目標になることに目指すべき夢を切り替えたことに感動したのです。

自分の夢から後に続く人の夢のために、少しでも先に行くことを目標にするとこは、寂しいようであり、また嬉しいことです。50歳を超えて夢という言葉が似合う二人に出会えて本当に感謝しています。

サザンオールスターズには成れなかったとしても、和歌山県を歌っているウインズは素敵でした。

人はいつか、自分の夢を追い掛けることに現実的な壁があることを知ることになります。

しかし夢が終わったのではないのです。夢の第二章は、次に続く人のために、夢に到達しなくても、今から少しでも先に進んでおくことが、これからの夢になります。夢の続きは後に続く人に託すことができるかどうかに掛かっています。

ウインズが和歌山県を拠点にした活動を続けてきたことから、和歌山県内のバンドが増えてきました。地方にいたら活動ができないと思われていた時代を打ち破ってくれたのがウインズです。和歌山県にいても認めてくれるメッセージを発しているとこは後に続く人に希望を与えるものです。

ウインズは和歌山県を拠点とした音楽活動でメシを食べていける存在です。これは若い音楽家の目標になります。いつかウインズを越えるバントが誕生することを二人は願っている筈です。

大きな夢を追い掛けて到達できなかった二人が、今でも熱い思いと次の夢を持ち続けていることの感動でした。大きな夢を持って行動することが支えてくれている人に対しての礼儀であり、それを達成するための活動をすることが、たった一つの恩返しなのです。