コラム
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2022/7/11
1882    上流での仕事

都内の大学理事長と懇談したときに聞かせてもらったことです。

チャンスは誰のところにも訪れますが、それを得ようとする立ち位置には違いがあります。このチャンスの掴む位置を河川に例えます。

下流にいれば獲得できる石は小石が多いのです。小石は獲得しやすいですが、大きな成果にはなりません。では上流に行くと大きな石がありますが、流れは速いことや持つには重いので獲得することは困難が伴い、その置かれた環境に耐えられるかどうかによって結果が違います。どちらを得ようとするかの選択は自分の意思次第です。川上に向かうのか川下に向かうのかはそれぞれの選択となります。

ただ言えることは、一人で河川の全ての石を獲得しようとすれば困難なことですが、チームで仕事をすれば獲得しやすくなるのです。

上流の急流で大きなとがった石を一人で持ち出そうとしても運び出すのは無理ですが、チームで運び出そうとすれば、知恵と連携などによって何とかなります。どの石を河川から運び出そうとするかを決めてチームで仕事をすることが成果を得られる秘訣です。大きな石であればあるほどチームの力が必要なのです。大きな成果を一人で総取りすることは困難なので如何にして信頼できるチームを作り出せるかが大事なことです。

急流からその石を運び出す作戦を立てる人、必要な道具を集める人、河川に入って作業をする人、河川に入らずに陸地でロープを引っ張る人などが必要です。その他に大声で応援する人も必要ですし、日数を要する場合であれば食事をつくる人や仮設小屋をつくる人も必要となります。

これがチームであり誰が偉いとか偉くないとかは関係なく、チームの一人が欠けると石を運び出せないということです。要は役割分担が大事なことで、仕事の軽重は存在しないということです。急流に入り石にロープを結び付ける人も偉ければ、陸から声を出して元気づける人も偉いということです。

多くの場合、獲得した成果物の配分方法で揉めることになります。「急流に入った私の分け前が多いのは当たり前」と言う人がいれば「運び出すための作戦がなければ持ち出せなかったから私が一番」と主張する人もいます。そんな争いをするようなら成果は得られないので、チームメンバーには公平な分配が必要となります。

もちろんこの計画を実行するための資金を提供した人は別となります。事前の資金がなければ計画を実行できないからです。投資をしてくれる人の存在があって計画を実行に移せることになります。自分で必要な資金を用意できなければ計画を実行できませんから、資金力を持つことが計画実行の鍵となります。

今回の事例の場合、資金を用意できてこそ必要な機材の調達や旅費、食費などを得られるので、実際に上流に行ってチームとして仕事をすることができるのです。

成果物は公平に分配することが原則ですが、仕事が出来る環境を整えてくれた人への配分が多くなることもまた原則です。この事例の場合、資金提供者、現場を発見した人、人を集めた人など最初に動いた人たちのことです。成果を得るために上流に行くことは下流で仕事をするよりも大変なことだと認識して仕事をしたいものです。